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TATSU & NATSU 〜 REAL LOVE special!〜
TATSU & NATSU 〜 REAL LOVE special!〜
毎週水曜夜「DANCEFUNK」と称して、ダンサーによるダンサーのためのイベントが展開されているshibuyaNUTS。そこで約5年間、ダンサーを盛り上げてきたCRiBとMACHI主催のREAL LOVEが7月29日の開催を以って休止することになった。2003年からのshibuyaNUTSジェネレーションとも言える多くのダンサーにとって、色濃い時間として思い出に刻まれている、文字通り愛にあふれた空間。今回はMACHIと共にREAL LOVEを盛り上げてきたNATSUと立ち上げからDANCEFUNKと深く関わっているTATSUに、今考えるクラブ遊びについて声を聞かせてもらった。

TATSU & NATSU 〜 REAL LOVE special!〜TATSU

チームO.G.S、S.T.Oとして活動中。Hi-Time@shibuyaNUTS、SQUARE@目黒食堂等のイベントオーガナイザー。MISIA、加藤ミリヤ、小柳ゆきなどのアーティストバックアップ経験多数。他DVD『DANCE FUNK』プロデュース・出演。 映画『ALL MY WISH』出演。





NATSU

TATSU & NATSU 〜 REAL LOVE special!〜香川県出身。'95年の“CRiB”結成以降、日本最高峰のダンスイベント『MAIN STREET』の出演をきっかけに、名実共に長年に渡って日本のガールズダンサーを代表する“CRiB”(クライブ)のメンバー。全国の様々なイベントにてゲスト出演・審査員・ワークショップをこなす。ファッション・スタイル・センス・ヴァイブスを兼ね備えたスタイリッシュかつ黒いグルーブ溢れるCRiB独自のヒップホップスタイル。これまでFOH、ZEEBRA、double、A.I.、Vlidge、Asamiらの振付&バックダンサーを務め、NIVEA、CHRIS BROWN、USHERら数多くの海外アーティストのライブフロントアクトをこなすなど、フィーメールダンサーのリーダー的存在としてシーンを牽引。現在はDJ KAORIやMAYUMIといった日本のトップDJのサイドダンサー他、ソロやUNITのショーケースをメインに、ファッションショーやPV・DVD・映画『バックダンサーズ』『昴』に出演。その他、雑誌モデルやイベントのプロデュース・ブッキング、グラフィックデザイナーとしてのスキルを生かしたフライヤー、ロゴ、WEB等のデザインなど多岐に渡って活動中。
http://ameblo.jp/natsu918/


ダンサー主催のダンスイベントのはじまり。

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TATSUはもともとどういうきっかけでDANCE FUNKをやることになったの?

TATSU

もともと六本木にあったNUTSが、2002年に渋谷にもできた時、ダンサーがオーガナイズするダンスイベント企画を任されたのが最初。それから、“DANCEFUNK”と銘打って、毎週水曜夜にダンサー主催のダンスイベントを帯でやるようになった。それが2003年くらい。当時は今ほどダンスイベントもなかったから、イベントをやればお客さんは入ってたね。

どのダンサーにオーガナイザーをお願いしようかと思ったとき、まず俺がMANKEYを誘って、BLOWを始めてもらって、女の子や一般の人も遊びに来れるようなイベントを作って欲しかったからCRiBの二人にREAL LOVEをお願いすることになったんだよね。

偶数月第一にBLOW、奇数月第一にHi-Time、奇数月の第四水曜にSLANT EYEをやって、盛り上がったよ。SLANT EYEはDANCEFUNKをやる前からやってたから、NUTSで一番古いダンスイベントになるね。

NATSU

SLANT EYEは男!って感じのイベントだったよねー。毎週イベントがあったのに、イベント同士で来る人たちが割れないんだよね。

TATSU

客層がそれぞれ違ったからぶつかることはなかったね。REAL LOVEは女の子や一般向きで、SLANT EYEはヤローが多かった。

若手・・・自分がどこまでやりたいかをわかってやっているか。

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イベントをはじめた当時と今の違いは感じる?

TATSU

他のダンスイベントが増えたこと。あとはテレビの影響とかかな。

NATSU

イベントは増えたよね。当時はしっかりダンスイベントをやるクラブは少なかったもん。

TATSU

たぶん、ダンスイベントでお客が入るっていう認識がクラブ側に広まっていったからだね。そのきっかけがDANCEFUNKだったと思う。

イベントは大体DANCEFUNKのある水曜日を避けて増えていったよ。それから、キッズが増えて、デイタイムのイベントが増えた。最近は深夜はキツイっていうダンサーが多くなってきてるのを痛感するね。

NATSU

水曜は週のど真ん中で遊べる人が限られるからね。今はお客さんを入れるのに必死。5年前遊んでた子たちも、定職についたり、結婚したりしてるしね。

TATSU

5年前遊んでた人たちが、子供を産んで今のキッズシーンを作ってるんだろうね。

TDM

オーガナイザーとして、若い子たちをイベントに出てもらうときの基準ってある?

NATSU

REAL LOVEは基本イケメンとカワイコちゃん (笑) 。そういう雰囲気を自分で作れていて、何かひきつけるものがある人たちってことね。

コアというよりも、ダンスを楽しんでる人たちのほうが多いかもしれない。めちゃくちゃ上手くなくても、伸びそう、人気が出そう、勢いがある子たちを選ぶかな。

でも、ゲストはちゃんと魅せれる人たちにお願いしてる。パーティーで遊ぶことも伝えつつ、それも経てきたゲストはもっとその楽しみ方を知っていることを伝えていきたい。

TATSU

俺の基準はそばにいるやつらかな。身内っていうか、やっぱり近くで頑張ってるやつらをピックアップしていく感じ。上手い・下手ではない。コンテストじゃないしね。

NATSU

それはそうだね。私たちもいろいろ出すわけじゃなくて、最大7チームまでって決めてる。なぜか大体若いダンサーは男の子が少なくて女の子ばかりになっちゃうんだけど、ゲストはメンズが多いからバランスはちょうどいいかも。

大事なのは気持ちと、自分がどこまでやりたいかをわかってやっていること。あとは、オーガナイザーからの目としては、お客を呼べるチームだったりその人っていうのは、必然的に魅力があるし、実力もあればすぐにゲストになれる。私たちが若いときも大体流れはそうだったよ。

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今若い子たちがやっているイベントとの違いを感じることはある?

NATSU

デイタイムにやるようになったし、ジャズ系の子たちがイベントを打つようになった。ゲストも変わらないし、キッズやコレオグラフナンバーが組み込まれている。

これらの要素が私たちのイベントにないのは、根底にヒップホップがあるからだと思う。最近のイベントは「クラブを楽しみましょう!」っていう感覚よりも、ダンスをショーとして見せたい発表会や舞台のような感覚なのかなと思う・・・。そのための場所としてクラブを借りるのであって、クラブじゃなきゃいけないわけではなくて。

私は、クラブで大人やいろんな人と出会うことで仕事にもつながってきたから、人とつながる場所として、あの空間を利用してほしい。だから本当はダンスよりもクラブタイムを増やしたいんだよね〜。

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自分たちがショーを作るときに意識していることは?

NATSU

シンプルにやりたいこと、見せたいことを意識する。 私は見てくれた人に何か影響して欲しいなって思っていて、ダンスって楽しいんだ!頭の先からつま先まで、総合的にこんな魅せ方もあるんだ!って何か響いてくれればいいな。

あとは一人で考えこむよりも、みんなと話して、より良く変わることもあるんだよね。いろんな人とやることによってショウの度に違った私が出せるといいなって思うし。

上の人たちに認めてもらって、引っ張りあげてもらう。


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なるほど。TATSUはどう?S.T.OとO.G.Sって自分の中でどんな位置づけになってるの?

TATSU

S.T.Oは、俺とステさんとで作ったチームで、最初からあるものだね。

S.T.Oのはじまりは、ステさんが当時組んでたシェイプアップボーイズってチームがあって、そこに俺は途中から入った。

メンバーはステさん、イシコロ君、GO君、ノリさん、俺、ナカムーラの6人。平行して俺はノリさんと007っていうチームをやってたんだけど、すると、俺たちの中で何がやりたいことなのかグチャグチャになってきた。そのときに、ステさんが「1つにしよう」って提案したのと、広島のTAKAさんが上京するのと、ニューヨークからHIROが帰ってくるタイミングが合った。

HIROは帰国したときに仲良くなって、「チームあるの?」「ない。」「なら、S.T.Oやろうよ」ってことで加入して、最初はステさん、TAKAさん、HIRO、俺の4人で始まった。色としてはヒップホップが強いんだけど、基本はフリースタイル。

今の若い子たちは、チームで有名になって、その中での個人が目立つ感じだけど、90年代くらいは、目立ってる個人が集まってチームになるっていうのが多かったんだよね。

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そういう流れはダンサー各人にあるかもね。初めは知り合った仲間同士でチームを組んで、ある程度有名になっていく。中にはダンスじゃない方向に進む人もいると思うし、チームの中でもメインキャラの人が目立つ様になってくる。そこで、各チームの目立つ人同士が、同じくらいのモチベーションを持って、新しいチームやユニット、新しいムーブメントを始めていく。

TATSU

最近S.T.Oに新しいメンバーでAKIHIK☆彡、せいじ、KENTO、Chaの4人が増えた。俺と同い年かちょっと下なんだけど、Chaはステさん生徒で、せいじは広島、AKIHIK☆彡は加入したいって言ってきてくれて、KENTOは練習会に来てたメンバー。結局HIROは忙しいから、いるときといないときがあるし、俺も他のメンバーも参加できないときもあるけど、そういう関係で成り立ってる。

あとは、S.T.Oは俺が引っ張ってる感じ。ステさんは顔として中心にいてくれていて、練習のときにHIROがいないときは俺が周囲の接着剤になっていろいろ決めたりする。

NATSU

確かにS.T.Oは個人重視のイメージあるなぁ。動物園みたいだね (笑) 。その中では中心的になるだろうけど、O.G.Sだと、完璧に下だよね?でも、なかなか加入できるものではないからすごいよ〜。

TATSU

O.G.SはYANAGIさんが俺を推薦してくれたんだけど、今の若い子たちにはもしかしたらO.G.Sのすごさはわからないかもしれないね。

どちらかと言うとフォーマーアクションだったり、もっと露出のあるチームが他にもあるし。

でも、俺たちの時代はO.G.Sが絶対だった。俺はヒップホップからポップに変わってから、O.G.Sを見て研究してたし、YANAGIさんが「うちのスクールに来い」って言ってくれて、それから2年くらい通った。すると、「もういいよ、来なくて」って言われて・・・

NATSU

一緒にショウタイムに出るようになったの?

TATSU

うん。レッスンに通ってるときも、一緒に踊ってたけど、あくまでS.T.Oの俺とO.G.SのYANAGIさんだった。たまたまWILD CHERRYさんとイベントで一緒になったときに、「今すぐでもO.G.Sに入ってもいいけど、東京のリーダーのYANAGIの許可がないとダメ」って言われて・・・

俺の中でもそんなにすぐに加入したいと思ってなかったし、むしろ逆にもっと若手として見られてもよかったのかなぁって思ったりもするけど。

NATSU

いわゆるサラリーマンでの昇進だね!そうやって上の人たちに認めてもらって、引っ張りあげてもらうことが大事だよね。誰でもいいって言うわけじゃないし。

TATSU

一度、DANCEFUNKでO.G.Sを呼ぼう!ってなったことがあって。CHERRYさん、MASAOさん、ACKYくん、YANAGIさんを呼んで、そのとき俺も加入することになったんだよね。それが29歳のときかな。実際、ACKYくん以外の皆さん40・50代の方たちだけどね。

O.G.S=TATSUになるその日まで・・・。  


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ダンサーとして目標にしていることは?

TATSU

俺は今は、俺=O.G.Sになること。S.T.Oの俺はもう浸透してると思うんだけど、O.G.Sの中のTATSUっていう見え方になりたいね。その為には、“O.G.Sの若手”としての踊りをしていてもだめだと思ってる。

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O.G.Sの中にいるTATSUだからこそ見せれるグルーブや形を確立したいってことかな。ナッチャンは?

NATSU

今、CRiBはそれぞれで活動していて、次の節目のとき、結成15周年とかでまたやろうかなんて話してるよ。今はお互いにいろいろ動いてる感じ。

今は今年の夏くらいに向けて、若手育成に励もうと思ってるんだよね。やっぱり発表会にしろ他の仕事にしろ、自分にしかできないことに縛られたり、しがらみがあったりするから、自分が認めた若手と一緒に作っていくのも面白いんじゃないかなと思ってきて...。それによって可能性もいろいろ広がるから。そこから刺激をもらって、いろいろ見てあげないといけない気がして。

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若手育成に行き着いたのはどうして?

NATSU

希望かな (笑) 。師匠と踊ることって私の中での目標でもあって、それによってやる気やスキルも変わってくるし、ひとつ山を越えた実感にもつながる。そこから自信を持ってダンスと向き合っていってほしい。

最近思うのは、「やりたい!」って伝えてくれればわかるのに、誰も言わないよね。なかなか夢を語れないというか。そういう若い子たちが多い。ダンスでは表現できるんだけどね。

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じゃ、どういうダンスシーンが理想?

TATSU

ギャラが上がってほしい (笑) 。流行してるのに、昔から下がったからね。

NATSU

それって、びっくりしちゃうよね。私も半減した。イベントを運営してみて、なかなか儲からないことも実感したし。

TATSU

そう。踊り手として関わってたときは、お金、お金って文句ばっかり言ってたけど、今、イベント仕切る側はキツいんだってことがわかった。 バックステージまで見えるようになってからは、すごくイベント側に感謝するようになった。あれだけ作り上げるのが大変なのに、ギャラがどうとか、出番が遅いとか言ってた俺は最低だったなと思った。

今はギャラをこっちからは聞かないし、「あ、くれるんだ、ありがとうございます。」って感じ (笑) 。逆に、業界の人と話すときに、大体裏方の構造がわかっちゃってきたから、やり取りが難しくなったかな。

NATSU

昔はイベントにゲスト1組でよかったのが、複数いないとお客さんが来なくなったからね。そういう現状もあると思う。でも、だからこそこの現実の中でやっていけることは貴重な気がして。そこのスペシャルを見せることが楽しくなってきた。

TATSU

俺にとってはそのスペシャルがO.G.SやS.T.Oかも。それ以外の自分のイベントは楽しく見せたいし、観に来てる人たちにも意外性を見せたいから、ユニットをやったりする。ま、結局、俺はO.G.SだろうがS.T.Oだろうがユニットだろうが、振りを間違えるときは間違えるし。大体俺のショウタイム中は笑われてるからね。だから、俺の目標は、振りを間違えないことかも。

NATSU

基本だね (笑) 。

ダンサーのカテゴリ…習い事になっている現実。


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少し話を戻しまして、shibuyaNUTSの時代を築いてきたっていう実感がお二人にはあると思うんだけど、この約5年間を振り返ってみて、どうだった?

NATSU

NUTSがあったから、すごく楽しめた。何よりスタッフがアットホームだしね。今まで、あんなにフランクで、ダンサーにあったかいクラブはなかった。1人や2人じゃなくて、スタッフ全員が動いてくれる。

TATSU

DANCEFUNKを作った理由にもそういうのはあったんだよ。

だんだんダンスイベントがダンサー中心のものから一般中心のものになった。地方に行っても、上から下までのダンサーが集まって情報交換やコミュニケーションを取れるイベントがない。そこに気づいて、DANCEFUNKを作るときに、“ダンサー、特に大御所が来やすいイベントにしよう”ってなったの。

若いやつらはクラブに憧れがあるし、集まりやすいんだけど、歳をとると、若いやつらに混ざりにくくなる。それまでクラブを引っ張ってきたダンサーたちが、今クラブに行くと煙たがれるのは嫌だったから、俺は自分より上の世代のダンサーはNUTSのスタッフ全員に紹介して、いつ誰が遊びに来てもいいように、少しでも遊びに来やすい環境にしたいと思った。

NATSU

私の場合、六本木のR?hallに行くと、大御所の方から若手までみんないた。そこに行けば、会える、話しかけられるチャンスがったから、通ってたんだよね。それが、HARLEMの“RED ZONE”になって今のshibuyaNUTSになってきたイメージがある。

TATSU

NUTSにSEIJIさんとかCHERRYさんが来ちゃうんだもんね。

NATSU

ね!それってすごいよね。

TATSU

しかも、誰よりも酔っ払っちゃうし (笑) 。でも、俺はそれがやりたかったの。観てもらえれば感想ももらえるし、そういう環境を作っちゃったほうが早いと思った。

NATSU

その考えを形にしてくれるスタッフもすごいよね。でも、もっと若い子たちもクラブに遊びに来てほしいな。敷居が高い感じなのかな?でも、そういう緊張感はあっていいと思うけど。

TATSU

アンダーグランド感というか、クラブ感がなくなってるのかも。

「ダンサーだけ、ブラックカルチャーのカテゴリに入ってないよね。」ってラッパーの人と話したことがあるんだけど、ダンスだけ、ピアノやバレエと一緒で、習い事のカテゴリに入っちゃったんだよね。だから、ダンスをカルチャーにしたいとも思う。

NATSU

そうだね。そのためにも、もう少し自分もフロアで踊らなきゃなとも思うんだよね。飲んでしゃべってると、それで楽しくなっちゃって、せっかくいい音楽をかけてくれてるのに、BGMになったりして・・・体力もヒールでもキツイけど、昔は気づいたら裸足になってたもんなぁ。(笑)

TATSU

最近はバトルも流行ってきてるから、俺は無理矢理にでもサークルを作るようにしてる。もちろん飲むときは飲むけどね。ダンスが習い事になっちゃってるから、フリーで踊るフロアがそれぞれの練習の時間になってるんだよね。

クラブに来てフロアで踊るっていうのは、女の子にもてたい、目立ちたいっていうモチベーションがあったけど、今は鏡の前で踊るのがダンスっていう習い事になってる。それは、コンテストやバトルが流行ってるし、しょうがないとは思うけどね。

あとはスクールが増えて、ダンスが習えるようになったのも大きいかな。昔は習えなかったから。クラブに行って、観て、盗んで、覚えるしかなかった。ある意味先輩の舎弟に成らないと教えてもらえなかったし。今はDVDまでもがあるから、家でも学べるしね。

ダンスが流行った分、いろんな分野で商業化しすぎたのかも。だから、俺らがダメって思ってることは、下の世代にとってはかっこいいことなのかもしれない。だから、俺たちが強制的にやらせても、かっこいい部分が薄れちゃうからダメになると思う。

NATSU

ダンサーの商業的な仕事も増えたしね。いいことだけど、だからこそ、クラブに遊びに来れなくなってる。

根本的にダンサーって遊び人で、クラブで楽しんで遊んでるイメージだったけど、今はもう違うよね。お金持ってる感じはしないけど。(笑)

TATSU

ある意味、その変化はきっといいことで感謝してるんだけど…難しいね。

勉強っていう感覚よりも、遊びの部分を忘れずに。


NATSU

私がメジャーを自分のメインの環境にしていないのは、それがカッコいいものだからっていう視点があって、何でもかんでもやるのがカッコいいとは思ってない。そこを超えない限りは、忙しくてもクラブに顔を出したいね。好きなダンスをやってて、忙しすぎてダンスが嫌いになる人も増えてる気がする。

TATSU

キッズシーンを見ても、子供たちに「ハイッ!」って指導してる光景を見ると、時代が変わって来てるんだなって思う。彼らはまだプロになりたいわけでもないんだろうし、その境目は難しいけど、遊びもあってほしいかな。

NATSU

大人になるとみんなそこの葛藤で辞めていくもんね。

TDM

逆に遊びとしてやっていくコツや守りたいものはある?

NATSU

たとえその子たちが商業的なことに行ったとしても、遊び心を忘れてなければ、それを下に入れていってあげれば、巡っていくと思う。

TATSU

クラブに行っても踊るスペースがないとか、環境が変わってる部分はあるけれど、その中でも踊ろうとするのが遊び。練習するときは練習する。でも、それは仕事のためで、それだけだとダメ。遊びに行ったついでに踊るくらいが遊びだね。勉強っていう感覚よりも、遊びの部分を忘れないでほしい。

TDM

自然に自発的にもなるしね。

TATSU

そうそう。そこがブラックカルチャーにも通じてくる。ある意味、日本人がまじめって言われる部分でもあるけど。

NATSU

親の成功してほしい!っていう気持ちが強いのかな。

TATSU

成功しても、今のままだと大した稼ぎにはなりません。カードはゴールドになりません! (笑) 。

NATSU

でも、そんな現代にあって、NUTSには、遊びがあると思う。若手は若手でも盛り上がってるから、それも今度顔出さなきゃって思ってるんだよね。

TDM

ダンスのブラックカルチャーとしてのかっこよさが、ナチュラルになるのがクラブだよね。そこでのコミュニケーションでシーンの拡大がよりよくなっていく部分はきっとあると自分も思います。そんな視点を持つ二人が作っていく遊び場をこれからも応援しています!今日はありがとうございました。
<あとがき>REAL LOVEに遊びに行って…


今回のインタビュー企画を考えた時、「どうにか自分なりに“遊び”の大切さを、表現できないか?」と思った。

“遊び”が悪いことではなくて、必ずしも“遊び=真剣に生きていない”ということでもない。アラウンド30歳の世代は、多くのクラブ遊びから、ダンスに携わる術を自然に習得し、そこで作り上げた人間関係が、利害関係を抜きに“楽しむ”ということを日常に組み込んできた。自分の場合、そこをベースに仕事もしている。

そんな世代がこれから作り上げられることはなんだろう?

30代は、社会的にも人生を構築する上でいろんなエネルギーのある世代だと思う、20代で培ってきた人間関係や経験が、その他の面でも繋がって仕事になっていく世代。多少の経験もあるし、実績も伴ってくるから、「そこで、何ができるか?」そんなことをざっくばらんに語りあう日々が続いた。だからこその今回の企画となった。

4月29日、5周年のREAL LOVE当日、久しぶりにイベントを最後の最後まで堪能した。何時にクラブを出たのか?朝恒例のすしざんまいには何時から何時まで居たのか?その後、家で何を話し、一体、何時に寝たのか?

全く記憶にはなかったけれど、今回はイベントすべてから「この世代」を感じようと思ったので、すべての流れに身を任せてみた。予想通りの展開といえばそうだが、そこにはたくさんの笑顔があった。

YANAGIさん、KOJIさん、SETOくん、NABEさん、KAZUHIROくん、KUMAちゃん、SHOGO、KATSUくん、TERUYA、数え切れない…ダンスを愛する人間が集結していた。先輩は先輩なりに後輩のことを気に掛け、心からのアドバイスをしてくれる。新しいユニットでの話が出てたり、近況報告や全く意味のない楽しいだけの話たち。そんな会話の大切さを実感できる空間だった。ダンサーは必ず、好きなことを仕事にしている人間しかいない。好きなことを仕事にしているからこそ、遊びと仕事の密接な関係が生じてくる。これもダンサーならではのこと。

気が合う仲間とどれだけ巡り会えるか。 そのメンバーとどんなことを形にしていけるのか? 信頼や熱意を共有する会話があり 、みんなの力で何ができるか?

これからの課題でもあり、挑戦でもある。そんな素晴らしい仲間であり、力になっていきたいと思った。
'09/05/09 UPDATE
interview & photo by AKIKO
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今回は、古くからNUTSのお馴染みダンサーとして活躍し、6/21(Wed)にNUTSでダンスイベントを企画する立場になった、ダンサーRYUZYにスポットを当て、近況からイベントの開催に至るまでの環境と、心境の変化に触れてみた。


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