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DVD 『OVER THE RIZE』監督 Ed Moore 〜Feel it, love it, live it!〜
DVD 『OVER THE RIZE』監督 Ed Moore 〜Feel it, love it, live it!〜
映画『RIZE』がクランプブームを巻き起こしてから早2年。TDMでは幾度となく特集をし、今後のクランプについて占ってきたが、ついにクランプ作品の第2弾『OVER THE RIZE』が完成。監督は現在ジャネット・ジャクソン専属振付師でもあるエド・ムーア氏。今回は作品の話に加え、クリエイターとしての彼の感覚に迫ってみた。

Ed MooreEd Moore / エド・ムーア

ロサンゼルス在住のダンサー / コレオグラファー / 映像作家。愛称EMO (イーモ)。ダンサーとしてマイケル・ジャクソン、マライア・キャリー、ブランディ、オマリオンなどのバックを務め、コレオグラファーとしてもウィル・スミス、バックストリート・ボーイズ、オマリオン、ブランディ、シアラなどのトップ・アーティストに指導。2006年10月からは、2年間ジャネット・ジャクソン専属振付師として契約。また、アップル社iPod、スニッカーズのコマーシャルのコレオグラフも手がけるなど幅広く活躍中。映像作家でもあり、今回の『OVER THE RIZE』では撮影・監督・ナレーションを務めている。

I think my own imagination is what drives me the most.

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今回はよろしくお願いします。早速ですが、今までにあなたに影響を与えた人やこと、転機等があったら教えて下さい。

Ed Moore

たくさん、いろいろな人々や出来事から影響を受けたのでここで全部を挙げることはできないけど、敢えて挙げるなら、ミュージカルやマーシャル・アーツ映画にはかなり影響を受けたよ。ダンサーとしてはR&Bグループのニュー・エディション (NEW EDITION) にすごくインスパイアされた。87年頃のロックスベリーからも多くのことを得た。でも、一番自分を突き動かしているのは自分の想像力だと思うよ。


マーシャル・アーツ :
カンフーアクションなどの格闘技を指す。1970年代後半のヒップホップカルチャーとカンフー映画は縁があり、強さを表す名称が影響を与えた。有名な話では、ジョセフ・サドラーことグランドマスターフラッシュの“グランドマスター”という名前は、当時のカンフー映画“グランドマスター”にちなんでつけられている。

ロックスベリー :
80年代、一世を風靡したハリウッド、サンセット・ブールバードにあったクラブ。各界の著名人が集まり、夜な夜な豪遊したという。

[2008.04.24追記]
ちなみにエド・ムーアによるとロックスベリーとはすべてのダンサーがダンスを競うクラブだったとのこと。現在L.A.のKey Clubで行われているで有名なダンスイベント「Carnival」もここから始まったらしい。毎週木曜日はストリートダンスコンテストが開かれ、デビュー前のブラック・アイド・ピーズもここで踊っていた経験があり、ジャネット・ジャクソンはバックダンサーを探しにここによく来ていたそうだ。「多くの人がここで踊り、ここでコレオグラファーとしてのキャリアを始めた聖地だ。− Ed Moore」


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あなたはジャネット・ジャクソンを始めとするアーティストのサポートダンサーとしても大活躍されていますが、今回の作品『OVER THE RIZE』の監督に当たっては、どういったモチベーションで行ったのですか?

Ed Moore

まず日本のダンススタジオIDA (International Dance Academy) のオーナーである桂木マヤさんと“POWER MOVES”というダンスやフィットネスに焦点を当てた映像製作会社を立ち上げたんだ。そこに日本のアルバトロスフィルムから”クランプのDVDを撮らないか?”と打診があった。たくさん作品を制作していたけど、クランプの映像はまだ制作していなかったし、これは面白いものになると感じたんだ。リル・Cやクランプのクリエイターたちはみんな友人だったし、僕にとってクランプのカルチャーやこの映画の一部になることは難しいことじゃなかった。


Lil C Miss Prissy Tight Eyes

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昨今、クランプを始め、世界ではダンスバトル・コンテストブームですが、エンターテイメントシーンで必要とされているダンスと、相手との優劣を使う為に使うダンスの役割をどう思いますか?

Ed Moore

Ed Mooreダンスの素晴らしさを広く世間に伝えて、産業としてのダンスを盛り上げるには、ショービズ (エンターテイメントシーン) のために踊るのは重要なこと。だけど、一方で飽和状態になり、商業的になりすぎて、ダンスを退化させてしまうこともある。最近ブームであるところのダンスバトル、コンテストの類はどれも嘘っぽく見えるね。審査員がいて観衆が投票するようなものだけど、事前に筋書きが決められていたり、“本当のベストダンサーは誰か?”ということはないがしろにされていると思う。

嘘のないダンスの全体像、ダンスの真実を語っていきたい。

TDM

ダンス以外にも今回のような映像クリエイターとしての才能もお持ちですが、自分のイマジネーションが一番掻き立てられるのは何をしている時間ですか?

Ed Moore

音楽を聴いたり、創ったりすることで体を動かさずにはいられなくなって、ダンスをすることや振付をすることで、撮影をしたくなる。脚本や撮影にそのすべてのプロセスが表現されているよ。

TDM

ずばりあなたにとってダンスの魅力とは何ですか?

Ed Moore

文化を超えて理解され楽しまれるものであること。 言葉なんかなくても、ダンスがあれば多くの人々と会話できるんだ。

Without words, dance speaks to masses of people.

TDM

あなたのこれからのビジョンを教えて下さい。

Ed Moore

My goal for the future is to bring dance to a new level through out the world through film.

映画を通して、世界中で、ダンスをネクストステージに持っていきたい。産業として成立させながら、嘘のないダンスの全体像を、ダンスの真実を語っていきたいね。

ダンスは一番正直な表現。
そしてそれは間違いなく、君自身の表現だ。

TDM

今後のダンスシーンに必要な要素は何だと思いますか?

Ed Moore

ダンスを広めるためにもっと多くの映画やイベントが若い世代に必要だと思う。一人のダンサーに影響を与えるものがあれば、それは何万人ものひとにも影響を与えるだろう。その一人のダンサーが大衆に多大な影響を与えるクリエイターになるかもしれない。ダンスだけじゃなく、多面的な才能を持ったダンサーが今後活躍していくと思うよ。

TDM

好きなダンサー、プロデューサー、ミュージシャンなど、クリエイターはいますか?

Ed Moore

一番インスピレーションを与えてくれるのはジャンルにかかわらず素晴らしい音楽。僕の体、心、魂を揺さぶるものさ。ダンサーやコレオグラファーはたくさんいすぎて挙げられないよ。

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最後に、トウキョウダンスマガジン読者にメッセージをお願いします。

Ed Moore

Ed Moore僕と僕の作品『OVER THE RIZE』に興味を持ってくれてありがとう。僕は日本とそのダンスカルチャーの愛しているしリスペクトしている。何度も日本を訪れているし、もう第二の故郷のようなものなんだ。僕は君たちのダンス、そしてダンスへの愛にもインスパイアされ続けている。

踊り続けろ。だってダンスには人生の真実があるから。ダンスは原初の、そして一番正直な表現なんだ。 そしてそれは間違いなく、君自身の表現なんだから。

P.S.
クランプすることを恐れるな!
クランプを感じ、クランプを愛し、クランプを生きろ!

Don‘t be scared to get KRUMP!!!!
Feel it, love it, live it!!!!!

TDM

Thank you!
'08/04/18 UPDATE
interview by AKIKO & imu
Special thanks for アルバトロスフィルム
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