TDM - トウキョウダンスマガジン

TDM Special Interview JuNGLE & 新之助
ロンドンミュージカル「OUR HOUSE」
TDM Special Interview  JuNGLE & 新之助

東京クラブシーンを代表するフィメールダンサーJuNGLE(NUMERO UNO)。アンダーグラウンドからメジャーまで幅広く活動する男性ジャズダンス界のリーダー、本山新之助。この二人が今月から全国6ヶ所で行われるロンドンミュージカル「OUR HOUSE(アワハウス)」に振付、そしてJuNGLEは出演者としても参加する。ミュージカルの本場をニューヨークのブロードウェーと二分するロンドン。音楽の要素にロックを取り入れ、テンポよくストーリーが展開する爽快なエンタテインメントだ。今回の取材では、出演者である俳優の新納(ニイロ)慎也さんにも加わってもらうことができ、本番を目前に控えた貴重な時間を割いて、3人から意気込みを聞くことができた。

[新納慎也プロフィール]
16歳の時、スカウトにより関西を中心にモデルの仕事を開始。CM、雑誌、などで活躍。TOKYOコレクション・OSAKAコレクションにも参加。大阪芸術大学舞台芸術学科演劇コース2年を終了後中途自主退学し、20歳で上京。1997年から2年間NHK-BS2「にこにこぷんぷんがやってきた」に、"うたのおにいさん"としてレギュラー出演。2002年4月、2005年9月に上演されたロックミュージカル「GODSPELL」で主演のジーザス役を好演。2005年9月上演版は本山新之助による振付で好評を得る。現在、ミュージカル作品を中心に舞台で活躍中。

●ミュージカル「OUR HOUSE」の詳細についてはコチラ
ミュージカルの世界にストリートダンスの振付師が参加する事になったわけですが、一緒にやってみていかがですか?
 

新納
この作品は新ちゃん(=新之助)の振付で、従来の”ザッツミュージカル!“みたいな世界ではない作品になっていると思う。多分、ミュージカルの振付師の方とは感覚が違うから。分かり易く言うと「今っぽさ」っていうのかな。個人的な感覚かもしれないんだけど、ミュージカルの世界って「ウェストサイドストーリー」(※)くらいの時代で止まってるような気がするんですよ。踊りも衣装も、私服さえも。僕とかは、最初ミュージカルに飛び込んだ時に、スパンコールで“NEW YORK”って書いたGジャンとか、バンダナを頭に巻いてやったりする人がいる世界を知って、でもそれが素敵な世界だとされていて、違和感があったんですね。ミュージカルって時代と隔離された空間にあるから、どうにか引き戻したいって思ってた。でも、今回G2さんという演出家と、ミュージカルに染まっていない振付家がやるっていうのは、すごく面白いですね。新之助さんたちが、若い子たちが見に来ても、ミュージカルに対して恥ずかしがらなくていいようにしてくれてる。時代が21世紀になったような・・・そんなイメージ(笑)。ミュージカルに接触のなかった人や、見たことない人にも見に来て欲しいな。

※ウェストサイドストーリー(West Side Story)…1957年にワシントンD.C.で初演されたミュージカル。現代版「ロミオとジュリエット」をNYの下町を舞台繰り広げる若者たちの物語。1961年に映画化され、アカデミー賞10部門を受賞するなど、世界的な脚光を浴びた。

新之助:
新之助 海外のミュージカルって新しい物にしろ、古い物にでも面白い。でも、日本に作品を持ってきたとしても、面白く見えない時があるんだよね。劇団四季とか特別なんだけど、実はよく分かっていなくて、自分のフィールドと合っているかを考えるとまた違ってくるんだよね。それって何でなんだろう?って思って。でも今回の作品って、元々向こう(ロンドン)にあるミュージカルって気がしなくて、いろんな人が見ても楽しめると思うな。

JuNGLEは「クラブ」での活動を中心にしている日常から「ミュージカル」というフィールドに変わっているわけですが、感覚の違うところなどはありますか?
 

JuNGLE:
JuNGLE今回、ミュージカルというフィールドに出演する中で、誰も知らないところに入り、お友達ができるか不安だったの。最初の歌の稽古の時は、挨拶だけして他は一切誰とも何も話さず帰ってましたから…。歌も台詞もあるので、すぐに体調を崩してしまう私は、どうやって体調管理したらいいのかしら、と不安にもなったけど、今のところ風邪もひかずキャストの方達とも仲良くしています。あっ、新人だから怖がられないようにいい子にしてましたよ・・・・最初はね(笑)。

役者に振付をする新之助、慣れない振りを入れられる役者さん、初めて役者になるJuNGLE。いろいろ大変じゃなかったですか? 
 

新納
振付師というのはすごく我慢をするというか、妥協してくれてると思う。明らかに新ちゃんやJuNGLEくらいまで全員が踊れるんだったらいいけど、難しいですよね、ニュアンスとか(苦笑)。やってみるんだけど、何が違うんだ!?みたいな。でも次にやることがあるから、ある程度の「まいっか」的なところがあって、ずいぶん我慢してくれてるんだろうなって思ってます。

新之助:
新之助 ダンサーに対して振付している訳じゃないからしょうがないよね。一番困るのは時間がないこと…(苦笑)。どんなに踊れない子でも、時間があればある程度の所までできるようになるんだけど、ミュージカルってお芝居やって、歌やって、踊りやって、しかも、海外みたいに1年、2年ロングラン上映とかじゃないから稽古時間とかも確保できないし、その限られた中でどれだけ出来るか。振りを作る方も大変だし、やる方もいっぱいいっぱいだと思う。でも、そんな中で今回は皆よく頑張ってると思うよ。

新納:
でも、お二人は、人柄と言うか、やっぱ器がでかいなっていつも思う。時間がない!イラッ!ってしてるんだろうけど、全くそれを出さない。僕たちが生で舞台に乗せなければならないものとは、また別のものを持ってきてくれるから、それがすごく新しくて楽しい。分かりきったステップの名前とかで覚えるような振りじゃなかったから。オレがやったらアカンねんけど、新ちゃんがやったらカッコええな、っていう、そういう新しい物を得ることができるのが楽しいですね。

JuNGLE:
でも、ダンスしか私を知らない人が見たらビックリするだろうな、とは思う。ミュージカルはダンスだけじゃなくって、言葉で直に伝えられるっていう大きな違いがあるわよね。必死になって踊って伝えなくても大丈夫なところはあるけど、言葉は言葉でまた伝え方が沢山あるから、これまた大変だけどね。結局、何でも一緒かもね。

新之助:
感覚のことを言い始めれば、踊りも歌も演技も同じだよね。

新納:
でも、要はセンスだと思う。踊りの上手い人はやっぱりすごい近いものがある。あと、“間(ま)”とか。やっぱリズム感かな、台詞も全部リズムが大切で、その空気間の中で、どのリズムで台詞を言うべきかを自然にでできている感じがする。

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※本文中、敬称略
Interviewer AKIKO
Photo by AKIKO & imu
関連Topics Update:06/06/09
NUMERO UNO
NUMERO UNO
raison d'etre(存在理由)を模索し続ける挑戦者

個性的なダンスと彼女等が発する独自の雰囲気が見ている者を惹きつけるNUMERO UNO。そんな彼女等のルーツはどこからきているのか?ダンスを始めようと思ったキッカケはなんなのか?気になるその点をインタビューしてみた
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('02/09/10 UPDATE)


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