TDM - トウキョウダンスマガジン

マーク イズ バック!「Mark」というオリジナル
日本のダンスの中でもヒップホップはハウスなどと比べてアメリカの影響の枠の中にとらわれない色々なスタイルがありますよね?
日本のヒップホップはかなりリスペクトされてるよ。世界の中で。俺はハウスとかダンスミュージック全般が大好きで、ZOOの頃からN.Y.とかのクラブも行ってたのね。向こうのパーティっていったら土曜の夜から始まって日曜の夜まで丸一日とかもあって、1000人位集まって、スピーカーも100個とかあって。そういうハウスのクラブで1000人がどういう踊りをしてるかっていったら、いわゆるE-JOEとかTONYみたいな踊りをしてるのは黒人とかプエルトリカン20人くらいしかいない。後の人は言うなればみんなフリースタイル。だから俺は自由なものだと思うんだよね。ZOOの時代にVOODOO RAYにしろE-JOEにしろ取り上げられて、やっぱりかっこいいから飛びつくのはあたりまえじゃない?でもそれだけがハウスじゃないよね。ハウスで踊ればハウス(ダンス)だよ。俺はハウス大好きだよ。
日本人はその枠とか固定観念にとらわれすぎという意見もありますが。
それはしっかりその中に入り込んで、素晴らしく勉強してるからね。実際に「これが一番かっこいい」と思ってやってるから、それについては何も言えないよ。でも自分としては、ハウスで踊ればハウスだね。ハウスの先駆者でLarry Levanっていう人がいるんだけど、彼が「ハウスミュージックは受身の音楽だ」って言ってるの。ってことは音を聴いて、そっからのっかって行くのがハウスなんだよね。ヒップホップは前に前に出て行く、自己主張のニュアンスの強いトラックでしょ? ハウスって言うのは音を聴いて、消化した上でトラックに乗っかって行くものだから。そういうスピリチュアルな部分があるから、パターンだけでハウスって言うのを決め付けるのはおかしいと思う。
ZOOでストリートダンスの世界を広げる役割を一つ果たされて、今またその世界に戻ってこられて、オリジナリティを重視する姿勢みたいなものを広められたらというような意識はありますか?
……どうだろうね。若い人はもっと突っ張ってもいいんじゃないかな(笑)?「あいつはああいうやり方するんなら、俺はこういうやり方で行くよ、それですごいレベルまでいけたらいいんだろ」って。それ位突っ張ってくれたら面白いかな。俺と同じような奴が増えても、また俺は違うことはじめるだけだしね。結局こう、人の後を追っかけてる人とは差がついてるようにしたいよね。
それはダンスシーン全体のレベルの向上につながるはずですよね。
そうだね、文化としての進化だね。今もクオリティの高い人はたくさんいるよ。でも10年前と同じことをしてても俺は刺激を受けない。

ストリートダンスは文化か?
プロダンサーを目指すと言う人も増えてますが?
プロになる、ならない関係なく、続けて欲しいよね。いくつになっても楽しめればいいと思うし。プロになって制約を受けると、限られた踊りになるじゃない? 仕事と別に趣味でのびのびと踊ってる奴もそれでいいと思うし。自分の目標を持ってやれればいいよ。続けることだね。やめちゃダメだよ。プロになれないからって。長い年数が経てば、上手い下手を超えてその人の人柄が出てくるわけだから、長くやれば長くやるほど、良くなってくるよ。それも義務的に「やめちゃいけないんだ」って自分を苦しめるんじゃ意味ないし。義務的に考えるんじゃなくて踊りを愛せばいいんじゃないかな。体をトレーニングすることを止めていても、踊りを愛する気持ちがあればと思うし。
文化という言葉がでましたが、ストリートダンスもさまざまなTV番組などを通して紹介されるなどして来ましたが、ダンスへの世間からの見方は変わってきたと思いますか?
だいぶポピュラーにはなったよね。でもその広まり方はジュニアと言うか、若い世代の遊び方っていう、ファッション的ムーヴメントだよね。どういう風に認められてるかっていったら文化的には認められていないわけ。世間的には低いよね。不良のやることじゃないかと思うんじゃない? でもたとえば障害者の中を慰安でまわったりとかそういう活動をしてて、そういう社会的な部分に踊りを活かしてる奴とかはすごいと思うね。ただ(ファッション的に)かっこよく見られる為だけに踊りを使ってるのは根本的にもったいない。大人の文化の世界じゃない。少し浅いかな。
熊川哲也やホアキン・コルテスのように一般の人が高いチケット代を払って「ダンサー」を見に集まるというようなことが、ストリートダンスの世界でも出来たらいいのかなと思うんですが。
ホアキン・コルテスは見に行ったよ。かっこいいと思った。フラメンコっていうのもやっぱりマニアックな世界で一般の人には見られないわけじゃない? だけどそれをちょっと容姿端麗とかアイドル的な要素もあって、女性をくぎ付けにさせる=フラメンコにのめりこませる。それを商業ベースに乗せたわけだから、スペインとしてはすごく貢献してるんじゃない? かっこいいよ。でもそれについてきたダンサーの小っちゃいおじさんの方がハンパじゃない。素晴らしい。びっくりした。もうそっちに「くぎ付け」だったね(笑)。

なぜ踊るのか
何で自分は踊るようになったのかなっていろいろ考えて、踊りの発祥として、飢饉のときに雨乞いの踊りをしたり、葬式のときに悲しいから踊ったり、踊るってことはメッセンジャーだと思う。色々な意味合いがあるよね。沢山の人がいる中で、踊りをやりたいっていう人は限られているわけ。昔にさかのぼってみれば、それは選ばれた人だと思うのね。それは一つの「超能力」だと思うんだ。何で踊るのかっていったらそれが俺の「役割」だと。ていうことは祈りから踊りを通じて何か発信しなきゃいけないかなっていうことだよね。

踊ってる人は、みんな超能力者だと思う。他の人にはもちろん他の役割があるけどね。じゃあ、その「踊り」をもらってるってことは、「踊り」を通して何か貢献しなきゃいけないんじゃないかって思うようになってきたよ、最近。この世に生まれてきて「踊り」というものをもらってるのに、それをしなかったら死人と同じだから。
'01/03/15 UPDATE
Interview : RAY
Mark School Information
name: S & D スタジオ
Place:  渋谷区松涛1-29-1クロスロード3F
time: 毎週火曜日
19:00 〜 20:30 (初級)

21:00 〜 22:30 (初・中級)
tel: 03-3476-4515
comment: 現在のストリートシーンにも対応できる新しいスタイルを元ZooのMarkが初歩から教えます。現在 Mark のチーム『カメレオン』につづく兄弟チームやカメレオンガールズに入れる人材を育てていきます。初心者からプロを目指す人までのダンスレッスンです。
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