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株式会社オリエンタルランド
クリエイティブスタッフ
一ノ瀬 康介
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パーク全体がクラブ空間に…チャレンジでもあり楽しみ
TDM:
普段は東京ディズニーリゾートのディレクターをされている一ノ瀬さん。今回東京ディズニーシーで3夜に渡って行われる “ベイサイド・ビートReturns”ではアンダーグラウンドなストリートダンスが導入されることになりましたが、ストリートダンスシーンに触れてみてどういった印象をお持ちになりましたか?
一ノ瀬 康介(以下I):
ダンスの歴史として、昔はバレエからジャズ、そこからモダンが発生したり、ブレイクダンスが生まれたりといった流れは知識として持っていました。深く入り込んだのは今回が始めてですね。今回はパーク全体がクラブ空間に変身するということで、とても斬新な発想だと思います。チャレンジでもあり楽しみですね。
TDM:
そもそもショーディレクターになるようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
I:
昔からエンタテインメントというものが好きでしたし、高校時代はバンドを組んでキーボードもやっていました。大学生の時には東京ディズニーランドのキャストをやっていました。その頃、10周年のショーがあって、その演出にとても感動しました。そして、その時初めて演出という職業を意識し、志すようになりました。自分の描いているものが形になるというのは、ものすごく感動的ですよ。
TDM:
演出を手がける上で大事にしていることはありますか?
I:
音楽が一番ですね。いい音楽を作って、それに合わせてステージングしていくのですが、20分程度の限られた時間の間で、いかに盛り上がりを作り、感動してもらえるか、という作り方をしています。テーマも場所の雰囲気も伝わるし、音楽が感動を呼べば、お客様も感動すると思います。
TDM:
演出をしている上で影響を受けたエンタテインメントはありますか?
I:
一時期海外に住んでいたのでよくミュージカルを観ていましたけれども、いろいろオールラウンドで見に行くようにしています。でも、単純にディズニーが好きなんだと思います。テーマパーク自体がステージで、働いている人間をキャストと呼び、お客様はゲスト、ゲストのいる場所のことをオンステージ、裏をバックステージと呼んでいます。そういったフィロソフィーにも共感しますね。
ダンサーは自分にないものを持っている一人のクリエイター。
TDM:
ダンサーという表現者は一ノ瀬さんにとってはどういう存在ですか?
I:
どうしても大きなショーになると大きい中のひとつになりがちですが、自分が演出している時は、彼らを一人のクリエイターだと思っています。台本を渡して、指示も出しますが、制約だけではなく本人に自由に演じてもらう部分を作ります。そういう遊びがないとつまらないと思うんです。私の担当しているアトモスフィアーショーに関しては、キャストが決まってから一人一人の特徴に合わせて考えていたことを変えたりすることもあります。私の演出家としての考えでは及ばない、そして彼らだけが持っている部分があるはずなので、こちらの持っているものを押し付けるのではなくてそういったものを引き出したいと思っています。
TDM:
今後クリエイトしていくようなダンサーたちへメッセージをお願いします。
I:
今は踊れるだけでは足りないと思います。いろいろなジャンルの踊りができるというわけではなくて、芝居や歌などいろいろな要素を持っている人が、これからのエンタテインメントを引っ張っていくのではないでしょうか。MCとして盛り上げられるとか表情がいいとか。やはりアメリカではそういう人がいっぱい出てきていていますし、日本もダンスやエンタテインメントをやる人の層が増えてきているので、その中で抜きん出るのはそういう人たちなのかなと思いますね。ステージ上で役立つものでなくても、音や衣装や照明に詳しかったり、演出ができる、大道具が作れるなど、そういう能力が材料となってきっと表で役立つと思います。実際に今パークへ入ってきている若いダンサーたちもダンス以外の能力を持っているので進化してきているんでしょうね。
TDM:
今回はそういった新しいダンサーとセッションできるいい機会になると思いますのでどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
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