TDM - トウキョウダンスマガジン

「marula!」オーガナイザー DJ七福 インタビュー

ジャンルを超えて…“きっかけ”を広げたい
「marula!」オーガナイザーDJ 七福 Interview

ヒップホップからダンスミュージックへ。

TDM

まず、師匠と仰ぐDJ JURIさんとの出会いは?

DJ 七福

DJ 七福もともと大学生で、趣味ですけどヒップホップのDJをやっていたんです。それまで情熱を注いで一生かけてやりたいこともなくて、普通に就職も考えていました。卒業前になって、音楽が好きだし、1回NY行っとこうかと思い、行ったんです。モヤモヤした学生生活の終わりに訪れたNYで、すごいものをガンッ!と見て、すごくいろんな衝撃を受けました。それまでは自分の中で、ヒップホップのワルい部分が魅力だったんですけど、やっぱり、僕の中ではリアルではないな、というのが実感でした。もちろん現地で活動しているヒップホップのアーティストたちはリアルだし、国内で活躍しているヒップホップのアーティストの中にも素晴らしい人たちがたくさんいます。今でも黒人のカルチャーは好きだし、見たり聞くのは大好きだけど、自分がヒップホップで何かを表現したいのかというと、そうではないなと。

ハウスに対してはディスコミュージックではないけれど、それに近い軽いものっていうイメージがありましたが、実はダンスミュージックっていう意味ではハウスの方が主流なんだということがNYに行ってからわかってきましたね。NYではアフリカンやジャズのライブも見て、こういう音楽があったのか!という衝撃でした。「もしかすると突き詰めたいのはこういうことなのかな」と思い始めた頃、JURIさんとの出会いがありました。友達に誘われてJURIさん主催のイベント「POWER BASE (パワーベース) 」 に行ったんです。

暗闇で踊る無数のハウサー、それを操るDJとの衝撃的な出会い

DJ 七福

真っ暗な中、当時の僕には馴染みのなかった“ハウサー”と呼ばれるダンサーがすごい数、すごい勢いでグワーッと踊っていて、DJブースに目をやると、すごい長いドレッドで性別もよくわからない人 (=DJ JURI) が、バックライトを浴びて回していました。かける曲によってフロアの動き方もジャンジャン変わって、皆汗だくで踊っている。それが結構自分にとって衝撃的な映像でした。僕の知識が少なかったのかもしれないですが、パーカッションやドラムなどのリズムだけの曲を中心に、淡々とした中にもちゃんと変化をつけていて、すごくオリジナルだと感じました。僕が今まで行っていたクラブとは違うなと。その時にこの音楽のDJをやってみたいと思ったんです。

「僕自身もオリジナルだということはJURIさんと全く別でないといけない。」

DJ 七福

DJ 七福その後、JURIさんの弟子という形になって、そばでいろいろなものを見させてもらってくうちに、JURIさんの持つ強い“上昇志向”の気持ちと、その目的に向かうプロセスが、なんとなくではなくて、きちんと積み重ねている生き方、そして、誰にも真似できないオリジナリティーを持っているというところから学ばせてもらっています。JURIさんはいろんな情報に左右されたり、何かに影響を受けて変わったりすることがそもそもない人なので、あれだけ突き進めるのかなと思うと、そこは見習いたいです。なので、師匠からDJの知識を習おう、とかではなかったですね。ある程度の基礎は教わりましたが、何をかけるかについてもほとんど言われないです。それよりも、イベントをオーガナイズするに当たってとか、人との付き合い方とか、そういうことの方が多く教えてもらいました。「marula!」はそこでの経験があるからできていることなのかなと思います。

だから、僕自身もオリジナルだということは要するにJURIさんと全く別でないといけない。それを意識したことも、今の僕のいろいろなやり方や選曲に影響しています。同じイベントで回す時などもありますが、昔は曲がかぶったりするようなことがあったのも、今はかぶることなく、僕なりの味でできるようになりましたね。僕が「marula!」で回している時はハウスDJをしているという感覚よりも、皆が共通して自然と体が動く曲のテンポ・スピードのものを選ぶようにしています。途中でゆるいのを混ぜたりもしますが、アレくらいが一番皆気持ちいいのかなって思っています。最近は、自分の世界観をさらに広げたいので曲制作にも力を入れていきたいと思っています。

DJ、ダンス、バンド…時間の流れをトータルプロデュース。

TDM

DJをしていて楽しいところはどんなところですか?

DJ 七福

僕が「このダンサーとこのバンドに踊ってもらいたい」と思うものを、「marula!」で形にして、お客さんの反応を見ることができる、「marula!」はそんな場所です。最近は、DJタイムまでのライブやダンスの時間からの流れを、その後の自分のDJプレイにうまくつながるような工夫をしているので、普段珍しいレコードを見つける感覚と、踊って欲しいバンドやダンサーを見つける感覚が僕の中で同じものになりつつあります。将来的には一晩をそういう風にプロデュースしたいですね。

最初にやったアフリカンの時のような打楽器系の勢いのある時は、モノホンダンサーズフルメンバーとの絡みで、即興だから出る良さみたいなものが出たし、3周年でやったスティールパンのゆったりとした世界の時には、モノホン全員の勢いのある感じは違うと思ったので、ソロでYumiさんにお願いして、時間をかけて作ってもらいました。そういった各回をお客さんが楽しんでいるということが伝わってくる時が楽しいと感じますね。あとサルサやフラメンコの時は、そのショーを見終わった直後のDJタイムで僕がサルサやフラメンコをかけると、皆踊りたくてウズウズしてたから、フロアの爆発力はすごかったですね。ブッキングするショー自体が選曲の一部になっています。

人・ジャンル、それぞれがちゃんと存在し、ちゃんと混ざり合う場所

TDM

「marula!」が目指すものは?

DJ 七福

今の僕が思う「marula!」のベストな状態は、ダンサーじゃない一般の人が来ても楽しめて、ダンサーもしっかりそこに存在する状況がちゃんと混ざり合う状態です。ダンスイベントを運営する自分はダンサーではないという部分を感じつつも、僕はダンサーがいるフロアでDJをしたり、ダンスショウが好きです。僕は一つのジャンルをつき詰めていくスタイルではなく、いろんなジャンルといろんなダンサーをごちゃ混ぜだけど、「あそこに行くと、いろんな人がいて、仲良くなれて、あったかい気持ちになれるね」っていう芯の部分があって、その上でいろいろなことに挑戦していくというスタイルで付き詰めていきたいですね。

TDM

ところで、素朴な質問ですがDJネーム、「七福」の由来は?

DJ 七福

あれは、僕が初めてイベントで回そう!って決まった時でした。DJ名で本名はさえないよねって話になって…

JURI

「じゃ、なんか七福神の中にいそうだよね。」

七福

「え、そうですかね?」

JURI

「うん、いると思うよ。じゃ、七福で…。」

って、よくわかんない感じであやふやにしてたら、出来上がったフライヤーに「DJ七福」って載っちゃってたんです。

七福

「いや、ちょっとタイム!もうちょっと考えた方が…。」

JURI

「いーや、いいって。」

七福

「ぁ、まぁ、じゃあ…。」

って最初は渋々だったんですけど、でも今となってはすごく覚えてもらえるし、いい名前だと思っています。ただ、たまに「七福」って7人だけどあと誰?って思う時もありますけど (笑) 。それと、“副”でも“服” でも“幅” でもなくて、“福”ですので、よろしくお願いします (笑) 。

TDM

最後に、「marula!」に集う方々にメッセージを!

DJ 七福

DJ 七福さっき、昔はヒップホップにはまっていたとお話しましたが、それは自分がヒップホップしか知らなかったからです。でも、NYに行ったり、JURIさんに出会っていろんな経験をして増えた知識がきっかけとなって、自分のやりたいことが見つかりました。だから、「marula!」でやっている生バンドとモノホンダンサーとのセッションが、いろんなジャンルのお客さんにとって、いろんな音楽を気軽に知ってもらうきっかけになれればという願いもあります。

特に今の若いダンサーの子が、普段触れることのないジャズバンドやフラメンコの生演奏を聴いて、その音楽を探すようになるきっかけになるとしたら嬉しいですね。音楽を追求しようという気持ちはむしろ今の若い子の方が強いかも知れませんが、だったら狭い中からではなく広い選択肢の中から選んだ方がいいと思うし、「marula!」によってその選択肢が広がるきっかけになれたら幸せです。是非気軽に遊びに来てください!

← Back123
関連Topics
[PICK UP EVENT] 2007.03.22 (Thu) 今宵の「marula!」は和の心、太鼓とセッション!
[PICK UP EVENT]
2007.03.22 (Thu)
今宵の「marula!」は和の心、太鼓とセッション!

[PICK UP EVENT] 2007.03.22 (Thu) 今宵の「marula!」は和の心、太鼓とセッション!
[PICK UP EVENT]
2007.03.24 (Sat)
DJ JURI MIX CDリリースパーティー!@club asia



Back Number