TDM - トウキョウダンスマガジン

MAIKO 〜 HARD WORKER 〜
MAIKO 〜 HARD WORKER 〜
ダンスを見ればその人が見える。情熱とエネルギー溢れるMAIKOさんのダンスには、さまざまな出会いの中で、彼女が歯を食いしばりながらも自分自身に問いかけながら経てきた背景があった。最近ではプロジェクトを束ね、彼女が振付・プロデュースする世界観で多くの人を楽しませてくれている。彼女らしく新たな感覚でいい時の重ね方をしている印象だった。

MAIKO●MAIKO

幼少期からプロダンサーを目指しモダンバレエ、新体操、器械体操を経てダンスの世界へ。ダンスインストラクター、振り付け、 LIVE・PV・TV・映画など、数多く出演。

<経歴> きゃりーぱみゅぱみゅの全振付、板野友美バックダンサー&「Dear J」PV出演、MISIAツアーダンサー&「THIS IS ME」PV出演。 Sowelu、堂本剛、大黒摩季、mao/d、松浦亜弥のバックダンサー、ツアーダンサーや、MISSY ELLIOTT Japan TourのオープニングアクトやWANYA MORRIS from BOYZ UMEN COUNT DOWEN PARTY`03のゲストダンサーとして出演。

振りを創るのが得意じゃないです。

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今日はよろしくお願いします。

MAIKO

よろしくお願いします。今日はトレーニングに行ってきたので疲れました。

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どんなトレーニングをしているのですか?

MAIKO

MAIKO初めはボクササイズに興味があったんです。ツアーを周っている時にケアをしてくれてる方が、もともとオリンピックの水泳選手についてるトレーナーさんで、「実はボクシングやってたんだよ」と聞き、仲がいいので、「え!ボクササイズやりたいんだけど!」と話して、今ではマンツーマンでトレーニングしてもらっていて、1年になります。今、東京★キッズがお休みになっていて、体がなまっちゃうので、体づくりのために、けっこうハードなのをやってます。

最初はスパーリングをやっていたんですが、私に見込みがあったみたいで、先生が本気になりはじめたんですよね(笑)。瞬発的な動きが、東京★キッズでもやってた動きに近いところがあって、飲み込みが早かったみたいで、トレーニングをやり込んでいたんですけど、私の体があまりにも変わってしまったんです。もともと筋肉がつきやすいんですけど、背中がやばいことに…(笑)。なので、もう少し軽いシャドーのボクササイズに変えました。

あとは体幹と、きつめの腕立て伏せとか。踊りに使うためというよりは、体を整える感じです。週2回やると体が変わりすぎちゃうので、週1で通ってます。

今まではショーに出て、自分を見る人がいたんですが、今は振付メインなので、自分の体を見せるところが減りました。誰かに見てもらわないと絶対に怠けると思ったので、自己満ですけど、写真を撮って、あえて公開するようにしています(笑)。

東京★キッズを休止して、振付だけの時期があったので、ぽっちゃりしちゃってました。そこで「やばい!」と思って、トレーニングをはじめてちょうど1年なんですけど、大分変わりますね。食べ物も気をつけて、なるべく体に悪いものは食べないとか。普通に、料理は嫌いじゃないので、ご飯も作ります。一応主婦なんで(笑)。

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今は追われる忙しさはない感じみたいですね。

MAIKO

はい。それに、私は器用なタイプではないので、追われるのはあまり好きじゃないです (笑)。

たくさんのことが出来なくて、できるだけ一つのことに集中してやりたいんです。ある程度マイペースを保っていないと、よくない方向に行っちゃいます。なので、自分のできる範囲でちゃんとこなす様にしています。

わりと計画人間なので、計画的に出来ないのが嫌なんです。かといって、人生の計画とかは行き当たりバッタリなんですが(笑)、その日1日とか、1ヶ月のスケジュールとか、振付の話が来ても、「私は出来ません。」と生意気にも言っちゃうこともあります。

だから、それも先方にわかっていただいた上で、それでもよければお引き受けしています。私は振りを創るのが得意じゃないので・・・。

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え?そうなんですか?

MAIKO

今は嫌いじゃないですけど、もともと全然振りを創ることができなかったんです。JAZZ DRUGをやっていた20歳くらいの頃とかは、まったくダメでしたね(笑)。

それまでインストラクターの依頼が来ても断っていました。まだ人に教えられるレベルじゃないと思っていたし、自分がもっと教わりたいと思っていたので。振りの創り方自体が、頭が固すぎて、分からなかったんです。どういう風に創っていいのかさっぱり。英語をどういう風に覚えればいいのか分からないのと似たような感じです。全然出来なくて苦労しました。

レッスンを始めても超苦痛で、毎回振りを考えるのが嫌で、レッスンに行きたくありませんでした。発表会とかやらなきゃいけなり、徐々に東京★キッズとかいろんなことを経て、今では振付をメインにやらせてもらえるようになりました。昔の作品なんて酷いものだと思うんですけど(笑)。

東京★キッズ。MIKEYとの出会い。


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東京★キッズのMIKEYとの出会いは?

MAIKO

MAIKOMIKEYからナンパしてきたんです(笑)。

それまで、喋ったことは無かったんですけど、向こうが知っててくれました。その時は私がCHUPPAをやっていた頃で、キャーキャー言われて調子に乗ってた時期だったんですけど(笑)、MIKEYから「僕と2人で踊ってくれませんか?」とメールが来て、「何言ってんだろうこの人!?」と思いました(笑)。

MIKEYのことは知っていたけど、踊りは見たことなかったですし、MIKEYのことを男だと思ってたので2人で踊ることを警戒しましたし、CHUPPAの活動もあったので、「ごめんなさい」とお断りしました。

その後、CHUPPAの方向性が変わっていき、私がユニットでイベントに出た時に、たまたまMIKEYが踊ってたのを見たんです。それが衝撃的で、めちゃくちゃ良かったんです。

実はその時、MIKEYが出演時間を変更するようにお願いして、私が絶対見ざるを得ない時間帯に踊ったんです。それくらい私に見て欲しかった。プレゼンをしてきた訳です。それを知らずに見た私は、まんまとひっかかりました(笑)。私も良いと思ったものにはコロコロ反応していくタイプなので、そこからMIKEYに興味が湧いて、男の人をあと3人誘って5人でユニットをやりました。

それで、初めてミーティングをした時に、私のやりたかったことと、MIKEYのやりたかったことこの世界観がものすごく一致しちゃって、そこの盛り上がりが半端じゃありませんでした。「この感じはなんなんだ!?」となりました。

それからいろいろと大変なこともありましたけど、東京★キッズは7年もやりましたね。一応今も休止なので、また踊れる時に踊ろうかという感じで続いています。

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MIKEYとなにが一番共有している価値観というか、感覚だと思いますか?

MAIKO

MIKEYと価値観はまったく違うと思いますね。だけど、大半の人は理解できない世界観の好きなところがお互い分かるところがある。お互いに好きな世界観があって、口で説明しても、2人だったら分かります。

もちろん私にも理解できないMIKEYの世界観はたくさんあります。私は常識人間で、彼は常識にはまりたくない人間だから。そんな人間同士が一緒になったところで、私がいたことでセーブされていたMIKEYの部分があるし、MIKEYがいることで、私のセーブし続けてしまっていいたことが解放されたのかなと思うことはあります。

だから今、東京★キッズではなく、東京ゲゲゲイで、のびのびとやっています。私はあれは出来ないので私だったら止めちゃいますね(笑)。だけど、私の固かった部分を柔らかくしてくれたのは、MIKEYです。

小さい頃は苦労知らず。大人になってからの苦しみ。


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MAIKOちゃんのダンスをはじめたきっかけは?

MAIKO

MAIKO私はおそらくレオタードを着たかったんです(笑)。

地元にたまたま体操や体育に力を入れた幼稚園 に通っていたんですが、幼稚園が終わった後、ホールでモダンジャスの教室をやっていて、そこの先生がすごくファンキーで、ジャネットとかポーラアブドゥルとかあの時代の雰囲気の方でした。その教室で、自分と同い年の子たちがレオタードを着て踊っているのを見て、たぶん「あれを着たい」と言ったみたいです。見た目から入ったってことですね(笑)。

その後、友達が習いに行ったバレエ団に見学に行ったら「あなたも入って」と言ってもらえて、本格的なバレエ団にも入ったんですけど、バレエダンサーになりたいとは思わなかったですね。コンクールにもいろいろ出ました。それと同時進行で小2から器械体操もやっていたんですが、そこでも見学に行って体験したら、次の日から選手コースに入ることになりました。

そんな感じで、小さい頃は苦労をあまり知らずにポンポンいけたので、その辺の柔軟性はあったのかもしれないです。その代わり、周りは地道にやっていた中で、あまり辛い思いをしなかった分、大人になってから振りが創れないとか、思うように踊れないのがすごく苦痛でした。

初めて教えていたスタジオで、最初は生徒も1人や2人で、来ない時もありました。でも、レッスンはたくさんやらなきゃいけなかったから、そこをこなすのが本当に苦痛で、振りを創るのも苦痛だし、この90分をどう潰そうか考えたり、時計ばかり見てましたね。でも、今は教えるのは好きですね。だいぶ変わりました。創るコツがわかったんです。

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ケースバイケースだと思いますが、具体的にどういう風に創っていくんですか?

MAIKO

アーティストの場合は、まず音を聞いて、本人がどういう世界観にしたいかを聞いてから創ります。こちらが一方的に創っても単なる振付になっちゃうので、歌詞や世界観をちゃんとわかった理解した上で創りたいなと思っています。

何回も曲を聴いて、イメージをなんとなく膨らませて、枠組みを創ってから、「ここはこうしよう」と組み立てて、それから細かいところを創ります。あと、だいたい細かい動き以外は、動かないで、頭の中で創ることが多いですね。

レッスンの時は、いい音を探して、自分が好きで勝手にパッと浮かぶ曲で創るので、自分も踊りますし、逆に動いて創ります。あとは、電車で浮かぶことが多いですね。お風呂で勝手に音が浮かんで振りが浮かぶ時は、忘れないようにお風呂から出てすぐにメモります。絶対に忘れたくない時はビデオを撮ることもあります。

アーティストには振り落としの時に私も動きますが、基本的には振りを落としたら忘れちゃうので、アシスタントが振付も構成も場ミリも覚えてくれます。アーティストの振り入れの時はアシスタントがいないとできないですね。

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アシスタントはMAIKOちゃんが決めたんですか?

MAIKO

はい、20歳の子なんですけど、もともと13歳から私の生徒で、ずっとついて来てくれる子なんです。今では立派に先生にもなってるし、その子がいないと現場はまかなえないですね。

理数系で私より頭がいいんです。記憶力もすごく良くて、やっとですけど、まとめる力も付いてきてくれたので頼りにしてます。ハタチにしてはしっかりしてますね。対応力もすごくあります。マネージャーにしたいくらいです(笑)。 /td>

ただの負けず嫌いです(笑)。


MAIKO

私が高校生の時、アーティストのことは全然知らなかったし、興味がありませんでした。興味が湧くことにはすぐにのめり込むんですが、湧かないことには全くダメで、それがはっきりしすぎて、興味がないと動かない性格なんです。それが、自分の難点でもあるんですが(苦笑)。

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何事もモチベーションだと思います。逆に、何を言われてもそこに自分があって、興味さえあれば条件に関係なく動くということですよね。

MAIKO

MAIKOそうですね。お金とか関係なく、好きだったら動きますね。

何事にもわかりやすいので、東京★キッズの、まだMIKEYと2人になる前なんですが、女性であることを本当に悔しくなったことがあります。

JAZZ DRUGの時もそうだったんですが、男子の中で踊ることが多いので、そうすると、絶対筋力では勝てない部分があります。そこが嫌なんです。そしたら、女であること自体が悔しくなっちゃいました。

だからやっぱり、筋トレも男の人以上にやらなきゃいけないと思ってやっていました。ただの負けず嫌いなんですけど(笑)。

若いうちは特に気持ちでダメになっちゃうと思うんです。気持ちが勝ってる人が、今、上にいると思います。結局、メンタルが弱いとダメなんです。メンタルを強くするには自分でどうにかしなくちゃいけないし、誰かに相談してもダメ。とにかく練習と筋力をつけて、「負けるな」ということしかないから。

あとは、坊主とがモヒカンとか、よく髪型を変えてました。あれも実は、悔しがるたびに変えていたんです。もちろん誰にも言いませんでしたが、今だから言えますけど(笑)。

でも、髪を切ることで、気持ちがまた変わって、新たに頑張ろうと気合が入るから、その度に髪を切って、ちょっとでも自分をできるだけ強く見せようとやっていましたね。

特に同性を惹きつけるのって、すごく難しいんです。むしろ好きにさせるくらいじゃないといけないと思って、新宿2丁目に行ったりしてました(笑)。実際に女の子にモテてたんですよ?(笑)。そういう世界を見てからの踊りは、自分で言うのもなんですが、よかったと思います。

普段から俳優さんを見るのも好きで、「この人は前はこういう演技だったけど、この時は全然別人に見える!」という分析をするのも好きですね(笑)。

俳優さんがゲイの役をする時に、新宿2丁目に行って、本当に誘われるかを試すらしいと聞いたことがあるんです。私もショーに出てる時は演じていて、いつもの私ではないですから。

東京★キッズにクモネタというのがありまして、その時は、獲物を捉えるテーマでした。ということは、男性も女性も見ている中で、その人たちの心を捉えなきゃいけない。そういう意味でも、ただ踊るだけじゃなくて、新宿2丁目に行ったのは、ちゃんと体感して、今自分にないものは何なんだろう?と考えたかったからなんです。

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勉強熱心ですね。最近のお仕事をする上でもそういった勉強は続けていますか?

MAIKO

テレビのCMやPVでパッと見た時に、一般の人には「これはあの人の振付だよね。」とは分からないですよね。でも、結局は、自分がせっかくやらせてもらったんだから「あ、あの人の振付だ!」と思って欲しいと思います。だから、わざと同じフレーズは同じ振りにしたりします。変える時もありますけど、パターンは少なくしてます。

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今は基本的にはきゃりーちゃん(きゃりーぱみゅぱみゅ)の振付がメインなんですか?

MAIKO

そうですね。あとは、自分の生徒で、初代のきゃりーちゃんのキッズダンサーをやっていた子たちがTEMPURA KIDSとしてデビューしたので、その総合プロデュースをしています。

衣装やヘアメイク、曲のアレンジだったりとか総合的にやらせてもらっています。

もともと小さい頃から服とかメイクは好きだったんですが、このお仕事をさせてもらえるようになってから、モデル関係の情報を得る機会が多くなって、さらに興味が湧いてきました。スタイリストさんもキャリアのある方で、意見も合うので、一緒にデザインを考えて、互いに「こういうのどう?」と出し合って、形にしてもらいます。

メイクさんにも私が「こんな感じがいいんですけど。」と言ったものに対して、「これはどう?」と提案してもらったり、新しい曲に関しても、「今度の曲でこういうアイデアがあるんだけど、どういう曲がいい?」と聞かれて答えたりもしています。

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今ダンサーの育成プログラムもやられているとか?

MAIKO

はい、きゃりーちゃんのプロジェクトの一環で“ASOBISTUDIO”というのを創ったんです。そこで主に教えています。

そこでは次のアーティストを育てたり、きゃりーキッズは子供がいいというのがあって、今のダンサーで3代目なんですが、主にそういう子たちを育てています。

基準はだいたい3年生から中学生までの身長が低い子。だから、みんな大人になりたくないみたいですね。あと、身長を伸ばさない方法を考えているらしいです。

でも、やっぱり頑張っている子は頑張っているから、身長が高かろうと、テレビには20時以降子供が出られなかったりするので、高校生ならそこに出てもらえたり、努力している子はライブに引っ張ったりもしています。そういうところは、本人たちのコンプレックスだったりすると思うので、あまりシビアにせずに頑張り次第で選びます。

「今日の振りは好きでした」と言ってもらえたら本望。


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MAIKOちゃんのこれからの目標は?

MAIKO

MAIKOそうですね、いろいろありすぎてわからないですけど、まずはアーティストの部分は大きいかもしれないですね。

もうちょっとアーティストとして自分を成り立たせたいですね。待遇もそうですし、自分自身がアーティストとして認められるようになりたいです。

ダンサーという枠にハマっている部分があると思うんですけど、踊りはもちろん好きですし、振付だったり、他のことも私は好きなので、両方やってきたいと思うんですけど・・・。

ダンサーとしてやりたい!と思った時に、私の中で一番すごいと思うのはYOSHIEさんです。本当にダンサーだなと勝手に思っています。本当にずっと“踊りを踊る”、それをやり続けていらっしゃいますよね。私が踊りをメインでやると、きっと踊りモードになっちゃって振付とかがなあなあになっちゃうと思います。

だから、私も踊りますけど、楽しく踊りたいのが一番。前まではひとつショーで踊るにしても、たくさん準備して、良いクオリティのものを目指して、期待もされてたし、あの時の方が良かったよねと言われるのがキツイから、それなりに練習するし、そうでなければいけない!という気持ちで結構苦しかったんです。でも、今はそれがあまりないから、楽しく踊っていて、その余裕感は必要なものなのかなと思っています。楽なところに浸るのは良くないと思うんですが。

だから、今やっているのはレッスンが主に踊る場なんですけど、とはいえ、レッスンの振付をひとつ創るにしても、結局、妥協できないから、その場で創るのもできないので、レッスンの振りを朝までかけて創ったりします。

「あ、こんな感じでいいや」とは、できないんですよね。そんなレッスンになっちゃうのはいやなんで。でも、そうやって妥協しないでレッスンでやった振りが、レッスン終わった後に生徒から「今日の振りはすごく好きでした」と言ってもらえたら、朝までやったことは無駄にならなかったし、それがまたひとつ自分の自信にもなると思います。

もともとバレエを10年間やっていたからかもしれません。その先生が、ひとつの発表会に2年かけるんです。2年かけても、先生が納得しなかったら出させてもらえなかったんです。そういう環境に10年間いました。相当スパルタでしたね。

よくやってたなと褒めてあげたい、それくらいやってましたね(笑)。


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自分の感性に影響を与えたものはありますか?

MAIKO

ダンスでは、ジャネット・ジャクソンの振付師のGil Duldulao (ギル・ダルデュラオ) を1番リスペクトしていて、いつまでも私の中でナンバーワンですね。なんでもかっこいい。普通にしゃべっていてもかっこいい(笑)。なんでもいいんです。

あとは、個人的に個展に行ったりもするんですけど、イラストレーターで、一番好きなのはトレヴァー・ブラウンです。子供を題材にして、コケティッシュな絵で、あまり受け入れられないかもしれないんですけど、私はあのミスマッチがものすごくたまらない。見ていてゾワゾワするんです。私が子供にそういうことをしたいとかでは全くなくて、ただ、絵として素晴らしい。それを元にして衣装や世界観を創ったりするんですが、その時は超ワクワクします。

でも、本当に個展はよく行きますね。ツイッターでたまたま知ってとか、街で見かけてとか。基本的に1人行動が多いので、カフェで気になったことをとことん調べたりもしていますね。はやりの音楽はわからないし、はやりの服も好きじゃないんです。

あとは、音を聞いていて、パッと世界観が浮かぶ時があるんです。どれとは言わないんですが、そういう時もいてもたってもいられなくなりますね。

場所もありますね。高円寺とかやばいです。好きなスポットがあって、そこに行って帰ってくると、違う感覚になれるんです。匂いもあるかな。

あとは、服を見てもウッ!なる時があります 「.この服いいな!」じゃなくて、苦しくなったり切なくなったりするんです(笑)。 色合いとか、何かを思い出すような感じ。

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アーティストですね〜(笑)。今までにあった転機というと?

MAIKO

やはり大きいのは東京★キッズときゃりーちゃんですね。

ダンサーとしての気持ちが大きく変わったのは、MIKEYとの出会いが一番大きいです。結果的にいい意味で別の世界に入ることができました。世界観とか自分にとっていいものをたくさん得られたのは東京★キッズですね。その後に、また違う世界で楽しみを覚えたのは、きゃりーちゃんですね。

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振付することになった経緯は?

MAIKO

オファーを頂いたんです。「今度こういう子がデビューするんだけど、MAIKOちゃんと世界観が合いそうだと思っていて・・・」と。ちょうど、1年間MISIAさんのツアーを回ってたいた時だったし、そもそも振付嫌いだし(笑)、両立がまずできないから無理だろうと…そう思っていたんですけど、気づいたらライブの振付をして、今に至ります(笑)。

まったくOKした記憶がないんですけど、本当に不思議です・・・なんでOKしたのかなぁ?いや、してよかったんですけど、記憶で全然覚えてないんです(笑)。

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苦しかったことはありますか?

MAIKO

苦しかったのは、JAZZ DRUGの時ですね。

振りが創れなかったのと苦しかったし、私がジャズとバレエしかやったことがなくて、NAOTOとNABEちゃんはヒップホップ。私はヒップホップをやったことがなかったので、あの独特なノリがやりたくてもできなかったんです。あとは、大技を結構入れていたんですけど、自分だけ思うようにできないとか、悔しさとムカつきで、出来ないってことがあり得ないから、その時が一番練習していましたね。

19歳くらいの時に焼肉屋でバイトしていて、終わってから朝まで練習して、そのままあまり寝ずにまたバイトして、の繰り返し。風邪引いてもずっと治らない状態で、高熱出しても練習は休まなかったですね。そのあと、安田で朝9時まで練習していました。その時も技があったんですけど、できなくはないけど、失敗する率も高かったので、それを朝9時前にほぼ毎日やっていましたね。

あとは、体力づくりに、夜中に走り込んで、鉄棒で懸垂とか階段ダッシュとかやっていました。それから戻ってきて、またトレーニングして・・・本番が横浜の時は中華街を走って、テンションを上げて、パンプアップして、本番に挑んでいました(笑)。

振付も、「きつい」「できない」「これやったらもたない」という理由で、やった方が絶対いいのに排除するのは絶対NG。やらなきゃいけなかったんです。その方がいい作品になるから。本番中にメンバーに顔を蹴られたり骨折しましたけど、それでも踊り続けましたね(笑)。 我慢強いんでしょうね。

MAIKOでも、今じゃ考えられない!(笑)。 あれがあったからよかったなと思います。自分でやらなきゃダメだと思っていたので、あれ自体は苦じゃなかったです。

そういうストイックなのが好きなんでしょうね。やった分だけ自分の身になるから。よくやってたなと褒めてあげたい、それくらいやってましたね(笑)。

でも、競争は嫌いなんです。ぶっちゃけ、コンテストやバトルは苦手で、生徒にコンテストの作品は創りません。その部分では弱いんです。たとえば、それで優勝できなかったら超悔しいから。そこを怖がって出さないのもあると思いますし、別に、私がいいと思っている作品であって、誰かに評価されたくて創っている訳ではないので。ただ単に作品を創って、それを見て、「すごくおもしろかった」「いい作品だった」と言ってくれる人がいたらいいな、くらいな感覚です。

ただ、きゃりーちゃんになると、周りのことも考えて創りますけど、個人的な作品に関しては、完全に自己満。それでも、みんながやりたいと言ってくれたら、よかったらやってねという感じ。超マイペース(笑)。

辛かった筋トレも、苦ではないんです。自分のやりたいことだから。苦しかったらやってないです。面倒臭がるら、妥協しちゃうことも多くて、妥協してなかったらいいことがいっぱいあったんだろうなと思うことは結構あります。

それを妥協しないのがMIKEYですね。MIKEYはやりたいことを妥協せずに作品に費やします。そこを本当に尊敬します。私はそこを妥協する部分があって、そこがいけないところなんです。

「あなたは最後の部分で妥協しています」と、おみくじにも書かれていました(笑)。でも、今年はそれをしないようにしようと思っています!

TDM

見習いたいところの多いお話でした。これからもご活躍をお祈りしています。今日はありがとうございました!
interview & photo by AKIKO
'14/04/11 UPDATE


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