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Kento Mori / Sohey 〜 Promising Young Dancers 〜

Kento Moriのインタビューはこちら


すべてのきっかけを与えてくれたアンドレ。

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今回ブリトニーのサポートをやっているそうですがその経緯をお話いただけますか?

Sohey

Soheyそもそも、僕のすべてのきっかけを作ってくれたのは、師匠というか、アンドレ (Andre Fuentes) 様です (笑)。

僕は彼のクラスを受けたことがないんですが、それでもなんでアンドレのアシスタントをしているかというと、LAのダンスイベント「CARNIVAL」に毎月出ている時期がありまして、ロジャー・リー (Roger Lee) やネイト・アダムス (Nate Adams) などいろんなコレオグラファーの作品に出ていました。あるとき、アンドレも作品を出していて、僕の姿を見てくれていて、その日のうちに、「ちょっと、新しいプロジェクトがあるんだけど、助けてくれないか?」ってことで声をかけてもらったんです。そのときはもうとにかく嬉しくて、飛んでいっちゃいましたね (笑) 。

しかも、面白いのが、その時の自分のダンスが、自分的にまったくうまく踊れてなかったんですよね。だから、終わった後もすごく落ち込んでいて、「うわぁ、ダメだ。もっと頑張んないと・・・」ってすごく反省してました。

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どういうところに落ち込んでたの?

Sohey

やっぱり自分の中での理想っていうのは、毎回あったんですけれども、それができてなくて・・・。基本的には楽しめるタイプなんですけど、そのときは楽しむまでもいってなかったですね。

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CARNIVALに出演する流れとしては、学生ビザで向こうに滞在し、その間にレッスンに通い、コレオグラファーに声をかけられた人だけが、CARNIVALに立てるチャンスがあり、そのコレオグラファーのピース (作品) を決めるのは、CARNIVALのオーガナイザー。スケジュールを決め、毎月ショウが披露される・・・って言う流れだよね。いつから出演し始めたの?

Sohey

一番最初にCARNIVALに出たのが、2008年の3月です。というのも、渡米したのが、2007年の7月なんです。語学留学という形だったので、学校に通ってたんですが、すごく楽しくて、学校の友達と遊んだりしてて、最初の3〜4ヶ月はダンスをやってなかったんです。たぶん、あっちに行けたっていう嬉しさがあったんでしょうね。ダンスを目的で行った子たちは行ったらすぐダンスをやると思いますけど、僕は行動力があるほうではないので、だから、動き出すまでに少し時間がかかるというか、環境に慣れるまで待ってたんです。

それで、11月くらいからスタジオに通い始めて、いろんなコレグラフを受けたんですけど、僕はDebbie Reynoldsばっかり通ってたんですね。MillenniumとかEDGEには通ってなかったんです。なんででしょうね?たぶん・・・Debbieは居心地がいいんです。ラウンジとかもあって・・・行ったことあります?

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なんか田舎のカフェみたいな感じだよね。

Sohey

そうそう!落ち着くんです。マンスリーとかも確か安かったんですよね。そう、それで、一日5〜6レッスン受けてましたね。そのときはダンスが楽しくなっちゃってて、一日中スタジオにいました。多いときで6レッスンとか、連続4レッスンとか。今だったらできるかな?って思うんですけど (笑) 。そのときは全然苦じゃなくて、楽しくてしょうがなくって・・・。

それで、毎日スタジオにいるとだんだんやっぱり先生とかに顔も知られるようになってきて、やっと3月くらいにCARNIVALに出ることになって。そのときはネイト・アダムスとロジャー・リーの二人から同時に声がかかって、とっても悩んだんですけど、最初のCARNIVALとして自分の中でも大きかったので、しょっぱなから掛け持ちしたんです。何回かリハがかぶったりもして、このままだと両方に失礼だし、どうしようかと思って、ロジャーに相談したんです。

ネイトからは告知された3月に言われて、ロジャーからは結構ギリギリに言われたんです。掛け持ちについて相談したときに、「でも君は使いたいから、リハをあっちを優先してもいいから、出てほしい。」って言われて・・・心が広くて、すごい人だと思いましたね。

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そんなことがあったCARNIVAL初出演が3月で、12月にブリトニーのサポートメンバーで来日・・・展開が早いよね!?しかも、LAに行ったからといって必ずそんな流れになるわけじゃないし、みんななかなかチャンスがつかめない状況の中で、すごいね。

Sohey

よく、あなたは強運だって言われます。僕的には、タイミングもそうだけど、僕の周りの人がすごく素敵な人たちなので、みんなのおかげだなって感謝しております (笑) 。

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自分の中で、具体的に目標みたいなものを持っていたの?

Sohey

僕は、単純に英語が好きっていうことと、ダンスで有名になりたいっていう、この二つの思いだけだったので。ダンスで有名になるっていうと、僕の中では、有名なアーティストのショウに出たり、MVに出たりすることだったので、まずそれが目標かなってLAに行ったときは思ってましたね。

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今回その目標が達成された仕事になったわけだけど、どんなことを学んだ?

Sohey

Soheyアンドレと仕事をしていると、アンドレが「ココはどう思う?」って聞いてくれるんです。日本人ってあまり意見を言わないと思うんですけれど、最初は僕も意見が言えなくて。遠慮もあるし、どう言ったらいいのかわからなかったりもした。けど、やっぱりいうことが重要っていうのはわかってたし、ソコを頑張ろう!と思って、それが身になりました。

あとは、昔からアンドレのアシスタントをしてる日本人のSakuraさん・・・あの人、すごいんですよ。たとえば、フォーメーションとか見てて、アンドレに「私ソレ好きじゃない」って言って変更したりして、それを見て、アシスタントとしてこうなりたいなと思って、努力してるんですけど・・・それもひとつの収穫ですね。

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確かに、“アシスタント”っていうのは、言いなりになるんじゃなくて、彼らのアシストをする存在だからね。

Sohey

そうなんです。意見を求められたときに「ココはこうしたほうがいい。」って言うと、その意見を採用して、生かしてくれるので、そのときはやりがいを感じて、すごく嬉しいですね。

頑張りすぎないで。

TDM

では、今後の目標を聞かせてください。

Sohey

もっと仕事がしたいです (笑) 。今すごく恵まれた環境にいると思うんですが、それに満足せず、常に上を目指していきたいです。

でも、とりあえず、楽しくダンスができたらいいですね (笑) 。あまり仕事ばっかりして、ダンスが嫌になるのが怖いとも思うので。

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同じようにダンサーを目指している人たちに向けてのアドバイスは?

Sohey

僕が思うに、まず、無理はしないことが一番。というのは、僕、努力するのがあまり得意ではないんです。苦しくても自分のできること以上のことを欲張って無理をすると、楽しくなくなると思うんですよね。楽しめないと意味がないと僕は思っているので。レッスンを毎日受けたのもまったく苦にならなかったし、もし苦になっていたら、ダンスを休んでたと思うし、ダンサーになってないと思う。ダンスをしたいときにしたい!っていうのがあるので、たぶん、ダンスをしたい気分じゃないけど、頑張ろうって無理してると、特にLAだと、先生や友達も限られてきて、精神的にすごく疲れちゃうと思う。そういう子をいっぱい見てきたし、ダンスで悩んでる子とかもいっぱいいた。

僕は、頑張りすぎないでほしいと思います。

僕は本当に自分が楽しいと思うことしかやってこなかったので、目標がもちろんありましたし、そのために何ができるかを考えて、楽しく、無理しない範囲で、できることはやろうとしてきましたけど、苦になるまでやってないし、苦になってたらやってない。

だから、もし、あっちに行ったら楽しいことだけじゃなくて辛いこともあると思うんですけど。

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たとえば大変なことってどんなこと?

Sohey

お金の問題とか、あっちに語学留学で行くのであれば、学校に行かなきゃ行けないし・・・僕も資金は半分貯めて、半分は親に借金をしたので、いち早く親に返したいですね。

あっちに行って、ダンサーを目指してる日本人が山ほどいたので、少し萎えたんですけど、「この中で一番になってやる!負けない!」と思って頑張ってました (笑) 。

ホントの友達を見つけるのが難しい街かも・・・

TDM

ダンサーはたくさんいるけれど、率直に好きなダンサーは?

Sohey

えーっとですね、まず・・・世界でも人気のRINOさん。RINOさんは、もうかっこいい。自分もそう言われるまでになりたいです。あとは、この間マドンナのダンサーになったKento君。彼は日本人として、すごいなと思うし、悔しいとも思うし、頑張ろうとも思うし・・・ (笑) 。

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LAのダンスシーンはどう映ってる?

Sohey

“LAはお仕事の街”。ホントの友達を見つけるのが難しいかもってみんなとよく言ってるんです。みんな親切なんだけど、うわべだけとか、コネクションがほしいとか。そう感じることがたまにありますね。

本当に自分の素を出せる人は限られてるなって思います。すごくホントに知り合いも増えて、みんな友達なんですけど、本当の自分を出せる友達って、本当に少ない。・・・そう考えたときに寂しくなったりとかするんですけどね。そう感じるのは、大事だと思います。

あきらめず。笑顔を忘れないで。

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今回一流を感じた瞬間は?

Sohey

アンドレって毎回振りを付け足したり変えたりするんです。それにみんなすぐに柔軟に対応できるのを見ると、プロだなと思います。あとは、妥協しないところ、疲れた顔を見せないところ・・・。

MVの完成を見たときは号泣でしたね (笑) 。素晴らしかったです。アンドレは本当にプロフェッショナルで、見せるときには見せる、スイッチが切り替わる。本当に感動でした。このビデオに参加していること自体も信じられないことだし、その場に入れるだけでもものすごい経験だし、いろんなことに感動してしまいました。その感動を忘れずに、踊っていこうと心に決めています。

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同じような夢を抱いているダンサーに向けて何かメッセージを。

Sohey

Soheyあきらめないこと。続けること。でも、無理だけはしないでほしい。楽しんで。笑顔で。

笑顔でいれば、きっと幸せがくると思うので。それは常に僕が結構思ってることです。笑っていたら、みんなも幸せな気持ちになるし、自分も自分でモチベーションをあげることができるし、無駄なことはひとつもないと思います。

TDM

確かに。ダンスを楽しむことだけは忘れないでほしいですよね。今日はありがとうございました!今後のご活躍をお祈りしてます。
'09/03/03 UPDATE
interview & photo by AKIKO
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