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IRVEN LEWS・BE-BOPの神様
日本では5、6年前に(当時)サム率いる「メガミックス」により紹介されたBe-Bopダンス。ハウスダンスのような爆発的ブームには結びつかなかったものの、今でももとメガミックスのメンバー、ゆきや堀江、後藤、そしてその流れを組む若手グループ「STAX GROOVE」といった層に支えられ、日本のダンスシーンにてひとつのジャンルとして確固たる地位を築いています。そのBe-Bopの生みの親、世界的にも名高いロンドンの「Brothers in Jazz」のリーダー, Irven Lewis (アービン・ルイス) が来日しているとの情報をキャッチして取材してきました。
まずは自己紹介をお願いします。
こんにちは。Brothers in Jazzのアービン・ルイスです。ロンドンから来ました。JazzのストリートスタイルとでもいうべきBe-Bopを踊っています。
Be-Bopはアービンさんが作り出したと聞いていますが本当ですか?
はい。Be-Bopがスタイルとして確立されたのは1990年のことです。私たちはジャズ、ストリートジャズ、レゲー、ジャズファンク、レアグルーブ、ソウル…あらゆるスタイルを踊っていましたが、それらいろいろなスタイルのミックスチャーとしてBe-Bopが生まれました。
正確なBe-Bopの定義というものはありますか?
(特にこれという定義もないのですが、)スタイルとしては非常にアップテンポの動き、激しい足さばき、スピンやジャンプといったアクロバティックな動きもとりいれたアグレッシブなダンスです。
Be-Bopという名前はどこから来ているのですか?
Be-Bopというのは音楽のジャンルの名前です。Be-Bop(ミュージック)にあわせて踊るダンスだったので、そのままBe-Bopと呼ばれるようになりました。(あおやま注:音楽でいうBeBopとは、ジャズのジャンルのひとつで、ものすごくスピードの速いもの、しかもそのほとんどがImprovisation(即興)で演奏されているもののこと、だそうです。)
Be-Bopのロンドンでの状況は?
1990年にBe-Bopが生まれた当時は、新しいスタイルということもあり活気づいていました。現在は誰もがBe-Bopを知っており安定した時期ともいえます。そこで、Be-Bopにブレイクダンスやコンテンポラリー、フュージョンといった要素もとりいれるなど新しい試みもしています。ロンドンでは皆、いろいろなスタイルをとりいれ、ミックスし、新しくオリジナルなスタイルを生み出していきます。(実際Be-Bopもそのようにして生またわけですが…)。
ロンドンのダンスシーン、カルチャーというのはどんな状況でしょう?どんなジャンルのダンスの人気がありますか?
繰り返しになりますが、ロンドンではダンススタイルというのが明確に分かれていません。ヒップホップ専門、ジャズ専門というようなカテゴリー分けができません。非常に混沌とした状況で、「僕は○○スタイルのダンサー」という言い方ができないでしょうね。皆オリジナルスタイルで踊っている、というのが現状です。
このあたりはダンスに対する姿勢の違いが面白い。アメリカのRock Steady CrewのメンバーでもあったZulu Gremlinは逆のことを言っていた。つまり、例えばハウスミュージックにあわせてブレイクダンスを踊るのはおかしい、と。ダンスは音楽と一体となって表現をしているもので、それぞれのダンスの歴史や背景を理解し、そのスタイルを遵守すべきだ、というようなことをかつてコメントしていた。
日本滞在中はどんなことをしていたのですか?
日本でBe-Bopのダンスチームとして有名な)Sound Cream Stepperz (サウンド・クリーム・ステッパーズ)とRock Steady Japanのビデオの仕事に参加しました。またSound Cream Stepperzとはイベントにも出演しましたね。
最後に一言何かあれば。
日本ではストリートダンスが非常に活発だと思います。ロンドンよりもカルチャーとして大きいものだと思います。(DDFと一緒に見学した)「RAVE2001」でも、出場している若い子たちのダンスが上手で印象的でした。サムと会えたのも嬉しかったですね。
というアービンさんでした。以前「ダンス・ダンス・ダンス」という番組の企画で、サムさんと堀江さんはロンドンの「Brothers in Jazz」のスタジオを訪問したことがあります。アービンさんは、サムさんが尊敬しているダンサーのうちの一人で、また RAVE見学の日にゲスト出演していたエヌタイズのダンスの先生でもありました。サムさんやエヌタイズはアービンさんを見つけて、『なんでここにいるの??』(しかも大物アービンさんがなぜか客席で見学!!)とおどろいてました。ロンドンでは知らない人がいない&クラブはすべて顔パスというメジャーなアービンさんですが、今後は振りつけの方にも力をいれていくそうで、日本での活動にも意欲的でした。日本に新たなるスタイルを吹き込むべく、彼の活躍を期待します。
'99/03/30 UPDATE
Interview : AOYAMA(DDF)


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