TDM - トウキョウダンスマガジン

HIRO・NYと日本のシーンを知るダンサー
日本人でありながらNYのエリートフォースやダンスフュージョンと同じ舞台で踊り続けて来たHIRO。NYのダンス事情から今の日本のシーン、そしてアジアのシーン。グローバルに活動してきた彼にインタビューを試みた。

NYでの活動の中一番影響を受けたことは何ですか?
NYへ行く前から踊っていましたが、当時はスタイルとかテクニックに比重をおいていました。渡米してから変わったことは「ダンスは気持ちでしょ」というメンタルなところ。性格も出るし、どんなにダンスの上手い人がクラブでたんたんと踊っていても、内側から出ているエナジーとかパワーがある人の方に目がいくよね。そういう精神的な強さがないと本当に自己満足のダンスになってしまう。それって自分が踊っていても面白くないよね。
NYには他の日本人も大勢いて、皆同じようにNYのダンサーになめられたくない気持ちや認められたい気持があったと思うのですが、HIROさんはどうでしたか?
そうですね。でも、NYで俺が見た日本人は日本でのバックグランドが無くてNYに来た人が結構いたと思う。バックグランドというのは日本のダンスシーンで培われたダンスの部分だけれど、それを理解してないと厳しいかもしれない。俺の場合は、NYへ行く前からもちろん踊っていたし、同世代の中でも早い時期から始めてるから、日本のシーンを理解したつもりで行ったよ。でも、自分がNYに行ってダンスフュージョンとか、エリートフォースと一緒にやれるとは夢にも思わなかった。やれると思っていなかったし、何かを得ようという気持ちや、刺激を受けようという気持ちのほうが大きかったからね。自分の場合はたまたまいろんな人達に会って、今のようにアメリカにいるダンサー達とダンスがやれるようになれたけれど、他の人達は「認めてもらいたい」とか、「一緒にやりたい」と言う気持ちが強いと思う。自分の場合は「俺はダンスフュージョンへ入るぞ」っていう感覚は無かったですね。
NYのCLUBにいるダンサーに対して意識することはありましたか?
うん。今でもそうなんだけど、NYのCLUBで踊るのって力が要るし、どんなに上手い人でも緊張すると思う。最初は「俺もいつかはNYで挑戦できればいいな」と思ってた。その時はまだ内面のものを出すとかは考えていなかったよ。NYにいた日々の生活で、ただ漠然としか見ていなかったと言う感じ。それは、逆に日本に帰ってきてからすごく意識したんだ。
気持ちで踊れるようになったと実感したのはどういうきっかけからですか?
例えば、CLUBとかで自然にバトルへ展開して、「面白くていいな、すごく楽しいな」と感じた時があって、周りから「ダンスうまかったね」ではなくて、「良かったよ」と言われるようになって、すごく自信になったと当時に、嬉しかった。そう言うものの積み重ねが良い経験として蓄積されたんだろうね。
※エリート フォース:NEW SCHOOLと呼ばれるHIPHOP&HOUSEの音楽に根ざしたダンススタイルのオリジネイターであるメンバーで構成されるダンスチーム。オリジナルメンバーはストレッチ、ヘンリー、ルーズ・ジョイントで、マライヤ・キャリー等の大物アーティストのバックダンサーとしても有名である。

※ダンス フュージョン:名実とものNYのHOUSEダンスシーンを代表するダンスクルー。総勢10〜15人のメンバーで構成されており、各方面で活躍している。
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