TDM - トウキョウダンスマガジン

VOL.5 〜 Go To Higher ! 〜
VOL.5 〜 Go To Higher ! 〜
VOL.5 (ボリュームファイブ) 、略してボルゴ。TETSUとNOBとの出会いにより、METH, KO-SKE、GANが集められ、2005年に結成。ユニットというよりもチームに近いスタンスで向き合い、相乗し、バランスの取れたヒップホッパー5人衆。今回この5人が今夏のWORLD WIDEで、若い才能と共に作品を創り上げる。現在の“ボルゴ”の自然体な姿にフォーカスし、アツいメッセージをたくさん聞くことができた。

個々の崖っぷち感が全員一致して集まったチーム。  

TDM

では、今日は一応WORLD WIDEの話もしたいんだけど、純粋に“VOL.5”のナチュラルな部分に迫ってみたいなと思ってます。・・・ま、今日は“VOL.4”だけどね (笑) 。

※編集部注:この日TETSU氏は欠席でした。

METH

・・・ナチュラルだと、結構俺ら、しゃべんないっすよ。

全員

(笑) 。

NOB

「ッポーっ」としちゃうよね。

METH

インタビューに「うーん」ってのが多めの方がおもしろいかもね (笑) 。

TDM

え、そうなの?じゃあ、WORLD WIDEの話から振ろうかな (笑) 。今回VOL.5にDirected Numberをお願いした理由が、前々から5人のバランスがいいなって思っていたんだよね。クラブの良さも知ってるし、そこに限らず、作品を“引き”で考えてくれる力もあると思って。今回の作品について、まだリハも始まってないとは思うんだけど、入れ込みたい要素やイメージってもうあるの?

KO-SKE

そりゃもう、ボルゴ (=VOL.5) ですかね。変にやり過ぎず、ボルゴのまんま。その名の通り、1人ひとりの色が強いところじゃないかな。まず、みんなが踊りのスタイルを持ってるし、性格もみんなおもしろいし。

TDM

もともと、どういうきっかけでボルゴって始まったの?

NOB

NOB俺が東京に出てきてまだ1年くらいのときに、SHIGE (BUSH BABEEZ!!) とYUZURU (FULLMETAL BOUTIQUE) とショウに出てて、そこにたまたまてっつぁん (TETSU) がいたの。俺はまだ面識なかったんだけど、その日がてっつぁんの誕生日で、みんなでワーッ!て祝ってて、俺は全然ワケわかんなかったけど、とりあえず「おめでとう!」って言って歳聞いたら俺とタメだったんだよね。「あー、同い年だねー」なんて話してたら、その日の俺らのショウをてっつぁんが観てたらしくて、「今度一緒にやりたいねー」「そうだねー同い年だしねー」「でも、どうせだから何人か集めてやりたいねー」って話になって。それで、俺がKO-SKEを引っ張って、てっつぁんがマサヒロ (METH) を連れて来た。それから、「あと1人くらいは欲しいよね」って話になって・・・。

METH

そこで若手のGANちゃんが来た。

NOB

そう。まだS.A.Sが出てきたばっかり、まだ1人ひとりの名前も売れてないときに、「なんか、“サス”ってチームに、1人怖い顔の子いるよね」みたいな感じで、てっつぁんが誘ったんだよね (笑) 。それでこの5人になった。最初はユニット的に始めたんだけど、なんかね、こう・・・ユニットって感じでもないよねってなったんだよね (笑) 。

METH

何よりも、ダンサーとして始まったばっかの頃の、個々の崖っぷち感があったんだよね (笑) 。「ぜってー売れてー!」「これで一花咲かしてやる!」っていう気持ちがみんな一致してた。

NOB

俺もホントに崖っぷちだった。27歳で東京に出てきて、何もない状態。ブッシュ (=BUSH BABEEZ!!) や、メンバーのSHIGEとかとユニットやったりしながら、とにかく必死だったよ。

それが、ボルゴみんな一緒だったんだよね。KO-SKEもマサヒロもなんかくすぶってて。GANちゃんは・・・まだ若手だったから、くすぶってもなかったけど (笑) 。ま、ちょうどそこがすごくかみ合った。あの頃はみんな暇でさ (笑) 。かといって、そんなに時間かけてもなかったのに、みんなの空気で簡単にっていうか、一発目のネタとか、超いいのができたんだよね!

METH

振りを入れられる楽しさがハンパなかったね〜。これは、俺のダンス人生であとにも先にもこれ1回なんだけど、初日の深夜連で、NOB君の振りをもらったときに、もう興奮しすぎちゃって、深夜練終わって、駅のホームでもう1回確認して、それでも「わかんねー!」ってなって。

全員

(笑) 。

METH

帰ってからも、いつもは練習嫌いなのに、「これは今日中に消化しないとマズイ!」って思って、てっつぁんに電話で「どうだっけ?」って聞いて、「右手が・・・」「右手どこ?膝だっけ、胸だっけ?」って、電話で振りのやりとりをするくらい燃えたっていう・・・

TDM

なるほど(笑) 。じゃあ、当時若手のGANちゃんはどうだったの?

GAN

GAN俺はもうとりあえず舞い上がった状態で練習に入りましたね。本当に練習がむちゃくちゃ楽しくて、今でも、「あ〜、ああいう練習がしたいな」って思うくらい。時間が濃かったっすね。「もう1回やりましょう!」って何回もやってましたよね (笑) 。

NOB

俺も静岡にいた頃、なかなか芽が出なくてヤキモキしてた時期って、ホントはチームの練習ってしたくなくて、ソロやればいいじゃんって思う。でも、(VOL.5は) その感じじゃ全然なかったんだよね。「全部ちゃんとやんないとダメだ!」って (笑) 。

GAN

「ちゃんとやりたい!」ってなりましたよね。

NOB

そうそう。「やりたい!」ってなったの、急に。

KO-SKE

振りも、ソロ張りの振りなんだよね。もう、ギッチギチなんすよ!

全員

(笑) 。

NOB

合わせなのにソロ張りって、わっけわかんないよね。 

KO-SKE

みんな「負けねー!俺が目立ってやる!」が5人全員、みたいな。 

TDM

チームの中でも、バトルの感じなんだ。

KO-SKE

そりゃもちろん、そうっすね。

NOB

ボルゴの名物で、絶対ネタのアタマにソロ回しをやるのね。たまに照明とかちょっと暗くして、雰囲気出して何回も鏡に向かって通すときもあるんだけど・・・ガラにもなく (笑) 。で、みんな最初はソロだし、力抜いてやるんだろうな〜って思ったら、全っ然!みんな最初から本気なの (笑) 。それを何回も通すからみんな汗だく。

まぁ、俺的には懐かしかったけどね。若い頃はこうだったなぁっていうか。そこを改めてボルゴをやって感じたね。

METH

東京ダンスシーンで、ショウが羅列されてるのが、結構プレーヤー側からは淡白な感じに見えちゃってた。だからこそ、本気でやったら、爪痕残せるでしょ!みたいな勢いで。

誰が主催か全然わかんないようなイベントでショウをやっても、一緒に出るのが例えばBUTTERだったら、「BUTTERが俺たちを見る可能性がある。よし、出よう!」みたいな (笑) 。

全員

(笑) 。

METH

あとは、DABDABっすよね。DABDABには結構拾われてるところありますよ。

GAN

気合ばっちり入ってましたもんね。

NOB

今じゃ考えられないくらい作りこんでたもんね (笑) 。AKKOちゃんが色々話を振ってくれたもんね。

TDM

うん、だって、5人のことは個別にも知ってたし、ソレが一緒にやってくれるなんて有り難い話じゃん (笑) 。あのスタイルを広めたいっていうのもあったしね。

METH

俺はイベントの「スタンバイ」かな?若いときからALL DEGREEでNOB君がこっちに来てるのを知ってて。実は、俺が最初に憧れたローカルのダンスチームなんです。

DANCE STAND BY (ダンススタンバイ) :
1996〜2001年、横浜CLUB HEAVENで行われていたダンスイベント。若手から大御所まで毎回30チームほどのショウケースで構成され、当時のダンサーの登竜門的なイベントだった。


ALL DEGREE:
NOBが地元・静岡で結成していたヒップホップチーム。メンバーはNOB、Yz、GANの3名。

NOB

へぇー、そうだったんだ。俺らのことは誰も見てねぇんだろうなぁと思ってたからさ (笑) 。

TDM

KO-SKEもいろいろあったよね。

KO-SKE

そうっすね。もう、NOB君の後輩だったから、NOB君たちをビデオで撮って、「こんな人たちいるんだー」って観てましたねぇ。

TDM

そっか。じゃあ、今一緒に踊れて超幸せなんじゃない?

KO-SKE

そうっすね。ブッシュやれたのも、ボルゴもNOB君に誘われたので・・・すべてNOB君始まりです。なんだかんだ、拾われてますね。

個々に成長したボルゴを披露・・・「やっちゃうよ?やっちゃうよ!?」

TDM

なんかこの5人は安心して頼めるから楽しみなんだよね。あとは、色々なシチュエーションに応じて相談できるから、頼む側も救われてます。だからこそ、今回のWORLD WIDEでは何をしてくれてもいいんだけど、一つ、若手と一緒にやって欲しいっていう条件で、その中でももちろん5人が目立ってくれて、「やっぱりVOL.5っていいよね!」っていうのものも打ち出してくれると嬉しいな。…でも、ってことはさ、さっきの話からすると今回もソロ回しから始まるってコト? (笑) 。

NOB

いやいや、今回はソレを打ち破るようなネタでいきますよ。

METH

ガチですよ〜。

KO-SKE

ガチで。

TDM

いや、ソロで始まってもいいんだけど (笑) 。

GAN

GAN始まってもいいんだ (笑) 。

METH

でも、結構ソレを崩そうとはしてますね。やっちゃうよ?やっちゃうよ!?って感じで。

全員

(笑) 。

TDM

ソレはそのスタイルに輪をかけて“やっちゃう”の?それとも別のスタイルでくる?

METH

やっぱり、それなりに個々それぞれ成長してるし、その過程での、現段階の思想や価値観っていうか。それを生で出す感じっすね。

たとえば、今までナシだった価値観がアリになったりとか、そういうのが年を追ってどんどん足されてるから、それを上手く出せたらいいっすね。

TDM

具体的にそれはどんな感じ?

METH

・・そこはシークレットでお願いします。

全員

(笑) 。

METH

バレると楽しくないので。

TDM

そりゃそうだね (笑) 。

「昔はよかったね」って言ってても、絶対に良くならない。
もっと人のやってないことはあると思う。−NOB

TDM

今のダンスシーンを見て思うコトはある?

NOB

ダンスシーン・・・って、“ダンス”の“シーン”だよねって思う (笑) 。

全員

(笑) 。

NOB

“音楽シーン”って感じもしなくて、昔みたいに、クラブだったり一体感もないじゃん。でも、これはいいことでもあると思う。たぶん、ダンサー1人ひとりのモチベーションはすごく高くて、スケールの大きいものを目指してるんだと思う。なんとなくね、わかんないけど。でも、俺もそうなのよ。俺も今、表舞台に出る会社に入ってて、ダンスにも携わってるけど、スケールがどんどんでかくなってる気がする。

ただ単に「昔はよかったね」って言ってても、絶対に良くならない。だから、そこをたぶんみんな変えようとしてるんだよね。変えようとしてて、それが裏目に出たりとか、良く出たりしてる。でも、それが既に文化になってる。だから、ブームには見えない。でも、すごい今、上の地点にダンスがあるんだと思う。それを、みんなでどんどんスケールアップしていけば、もっとおもしろいことになる気がする。くすぶったりとか、「クラブ行ってもおもしろくないよね」っていうのを、もう一個突き抜ければ・・・。

TDM

突き抜ければ他の業界もダンスに寄ってくるだろうしね。

METH

もう、寄って来始めてる気がするけどね。

NOB

うん、来始めてるね。ダンスイベントにスポンサーついたりしてるしね。

METH

今、ストリートダンスが運動として一般的なものになりつつあるけれど、運動だけではなくって、ちゃんと色っぽい、そこがポイントだと思うんですよね。

モダンやバレエみたいに1から10の、決まった教えのもとの文化ではないから。“楽しめて遊べる”っていう要素が入ってるもの、だからこその魅力っていうのはありますよね。

TDM

“遊べる”っていうのはあるね。音だけでなくファッション、食事、アートとか他の要素でもね。会社という社会に入った視点から、NOBは他にどういうネクストレベルを見てるの?何を大事にしてる?

NOB

今一番やりたいなって思ってるのは・・・単にダンサーの枠だけに収まらないっていうか・・・。ダンサーなんだけど、でも、何かもっと表現できないかなって。

俺らもいろいろ考えてるんだけど、ダンサーが一丸になったらすごいんじゃないかなってすごく思う。みんな生きてる中で、ダンスを始めた時代も違うし、感じてることも違うから、なかなか一つにはならないかもしれないんだけど。今、そこが取れかかってるのかな。ここを一個突き抜ければ、一つの固まりになりそうな感じがするんだよね。

だから、近年いろんなジャンルの人がいろんなユニットをやるのも、一つ突き抜けたことだと思うし、そこをもうちょっと噛み砕ければ・・・。漠然としすぎてわかんないけどね。

別に今のダンスシーンが悪いっていうわけでもなくて、シーンを変えたいっていうのとも違ってて、、、ただ、みんなネクストレベルに突き抜けられるんじゃないかなって漠然とは思う、というか。「ダンサーだっていろんなことできるんだぜ!」っていうか。

でも、たぶんできるんだろうけど、俺も含めて正直わかんないよね (笑) 。まぁ、こう思い始めたのも会社に入ってからだし、俺もそんなに何もできてないけど、客観的にダンサーを見てて、もっと可能性がいっぱいあるとは思う。

みんな (ダンサーの可能性の) ラインを細くしすぎなんだよね。人のやってることは、簡単に見えるかもしれないけど、もっと人のやってないことはあるし、みんながそこを見始めたらすごいんじゃないかなって思う。

自分で気づいて、攻めるきっかけを作ってほしい。−METH

TDM

今回のWORLD WIDEのステージ担当者やVJも、「毎回ダンサーとのセッションが楽しい、遣り甲斐がある」「ダンサーはこっちが思ってもみなかったことを言って来るから、それに返していくのが楽しい」って言ってた。

NOB

あ、じゃあ、映像の無茶なお願いしようかな (笑) 。

METH

ブルックリンの、何丁目のあそこの店の風景、ないっすかね、とか (笑) 。

全員

(笑) 。

TDM

でも、こうやって周囲を巻き込んでいくことが、一つになることなのかな。

METH

間違いないっすね。そこが、ストリートダンサーへのメッセージにもなる。 最近は、クラブでPAさんにさえ挨拶しなかったりする。昔って音のトラブルも多かっただけに、もっとダンサーとPAさんがやりとりしてたよね。それで、本番で助けてもらって、終わってからありがとうございます!っていう会話が普通にあったり。昔っていっても、つい2年前くらいだけどね。

PAさん :
Public Addressの略称。一般にクラブやコンサート会場などで、電子系音響拡声装置を扱うオペレーターを“PAさん”と呼んだりする。ダンスショウケースの音源をかけてくれるのもPAさん。音源にはきちんとチーム名・板付きor音先かを、感謝をこめて、書きましょう。

NOB

俺も会社に入るまでは、発表会で作品を出すだけだったけど、今は同時に裏方とも直接関わってるから、PAの人や照明の人と、何度も打合せしながら作品を創るようになった。それでも、納得行かないこともあるし。だから、本当に近くで絡んでいかないとダメなんだなって。だから、プレーヤーだけど、全部を知ってたら、もっとすごいことができるって思ったね。

今回のWORLD WIDEのナンバーをいいなって思ったのは、オーディションがあることによって、上手くなろうとしてる若い子たちの、モチベーションのレベルアップができること。上手くなろうって思ってることは思ってるだろうけど、そこはなかなか突き抜けられない。でも、こういうオーディションがあって、「受かってやろう!」とか、「あの人と同じステージで踊ろう!」っていう気持ちが自分の中にあると、すごくいいと思う。

俺も、今若い子たちを育てるっていう仕事をしてるけど、そういうチャンスを与えてあげないと、モチベーションが下がるんだよね。もちろん、頑張ってるんだけど、プラスアルファ、何に向かって頑張るか、頑張りどころを与えるコトがすごく大事だと思う。

METH

きっかけって重要っすね。

TDM

確かに、ダンサーってきっかけを待ってる部分があるかもね。

METH

METHきっかけの中でも、自分で攻めるきっかけ も作ってほしいね。やり方はわかんないけど。自分で気づいて、攻めるきっかけ。難しいテーマだけどね。

NOB

そろそろ俺らもきっかけを与える側になってきた歳じゃん。そう考えると、ちゃんと若い子たちに、「ああいう人になりたい」っていうのを提示してあげないといけないなって思う。今はダンサーとして見えてる道が細いし、リアルに、あまりそうは思わないと思うんだよね。

みんなで創り上げていく重要性に気づいてきた。―GAN

TDM

じゃあ、そういう裏方の視点ではなくて、プレーヤーとしての要素の強いKO-SKEとしてはどう思う?

KO-SKE

ぶっちゃけ、NOB君が考えてるようなところにまではいってないっすね。まだ“自分”っていうか。

NOB

そりゃそうだよね。俺もそうだったもん。

KO-SKE

たぶん、もっと裏っていうか、上に立ってみないと、まだ俺には見えてきてなくて・・・。

TDM

逆に今は何が見えてる?

KO-SKE

・・・“自分”っすね。

全員

(笑) 。

KO-SKE

でも、徐々に、関わっていった方がいいんだろうなっていうのは感じてはいるんですけど、「関わっていったらこういうことができるな!」っていうところまでにはいってないっすね。

METH

俺は、「関わっていったらこういうことができるな!」っていう感覚よりも、自分の立ち位置、足場をもっと気持ちよくするために関わっていく感覚。自分の生活を気持ちよくするために、あれこれ試行錯誤する、っていう感じに近いかな。

ダンスだけを見るんじゃなくって、ダンスを気持ちよくするために、ダンスに関わる音楽や服っていうツールを把握する。それによって、ダンスの快適さが変わるから。究極を言えば、One for all, all for one.ですね。

GAN

俺もKO-SKE君と一緒で、自分の身の回りのことしか考えられてないですね。“自分の今いる状況を良くしていくためには…?”って考えていくと、たぶんホントに、みんなで上がっていかないと、結局自分の位置も上がっていかないんだな、っていうことを、さっき聞きながら思ってました。VOL.5をやってるときは、完全に自分のコトしか考えられてないし (笑) 。

全員

(笑) 。

METH

でも、それはいいことだと思う。

NOB

うん。

GAN

でも、最近になって、やっと周りが見えて、みんなで一個のことを創り上げていく重要性とかに気づいて。やっと、みんなでやっていく楽しさがわかった感じっすね。これから自分なりにも考えて動いていけたらなってすごく思いますけど。

KO-SKE

最近は発表会も増えてきたから、俺もここ2年くらいでやり始めたんですけど、それでやっと裏方さんや運営側にもだいぶ目が行くようになったっていう感じですね。

NOB

何事にも段階があるから。一気に行こうとしても考えが及ばないし。俺も実際に会社に入ったときは何もできなくて、イントラしかやってなかったけど、今は、色々自分で見つけてやってる。本当に、ナニやれ・コレやれって言われないから、自分で見つけないとボケーッとしてるだけ。だから、自分で見つけるっていうのは大事かも。そうなると、「じゃあ、こういうこともやんないといけないんだ」って色々考えて、わかってくる。

すべてが変わった、そのきっかけがボルゴだった。−NOB

TDM

こうしてインタビュー聞いてて改めて思うけど、ホントに5人のバランスがいいよね。

METH

成り行きのわりに、奇跡的なバランスができてるんです。成り行きを馬鹿にできないです。計画的にやってもすげーつまんなくなるときもあるじゃないですか。

NOB

あるある。こんなはずじゃなかった〜みたいなね。まぁ、みんなの状況や気持ちなんだろうな。それがすげーいい感じ。

METH

いい素材が揃ってますよ。フレッシュなものと熟成されたものっていうか。

TDM

素材がよければいい料理ができるしね。今はどんなバランスなの?

NOB

でも、基本的には全然変わってないと思う。個々は成長してるけど、やり始めたら、バランスは変わってない。最初やり始めた頃、いろいろやりたくてもできなかったりしたのは、みんな忙しくなったから。それはみんなボルゴきっかけでね。でも、個々のチームもあるからなかなかできなくて、今考えるとあんなにいいものができてたから、もっとできたかなって悔しい部分もあるけどね。

俺の中でも、ある意味東京に出てきて、すごいきっかけになったのがボルゴだった。それまではなんかパッとしなかったんだけど、いろんな人が話しかけてくれるようになった。すべてが変わった、そのきっかけがボルゴだったんだよね。

METH

結構そこがでかいんだよね。俺ら、ハウスの強いコミュニティに良く呼ばれてた。Aver, I.T.T, DABDAB・・・この辺が実はフィールドなんだよね。

Aver, I.T.T:
Averは渋谷SIMOON (現club axxcis) 、I.T.Tは六本木CORE (閉店) にて開催されていたダンスイベント。

TDM

めちゃくちゃヒップホップなのにね(笑) 。

METH

そうそう、激ヒップホップなのに。でも、そこがでかいんです。

NOB

そういうフィールドで踊っても、アウェー感って感じがしなくて、むしろ、自分たちの畑かもってくらい、気持ちよく踊れる。この5人で集まると、変な不安がなくなるんだよね。自分の固定チームってなると、失敗できないというか、変なプレッシャーがあるんだけど、こっちもチームなんだけど、なぜかわからないけど、プレッシャーがないんだよね。

METH

逆に言えるのは、全員、個々のチームの方を大事にしてるっていうこと。だから、この5人でがっちり固まるわけではない。基本理念は個々のチームにある。

NOB

そうだね。もちろんこっちも大事だしね。そのバランスがいい。


情報があるからこそ、俺たちが上手くそれを使って
伝えていかないといけない。−KO-SKE

TDM

では最後に、トウキョウダンスマガジンを読んでいる若いダンサーにメッセージを頂けますか。じゃ、KO-SKEから。

KO-SKE

ん〜。最近すごく思うのが、「どうやったら上手くなりますか?」「何すればいいですか?」って聞かれるんですけど、俺が若いとき、そんなこと考えてたっけな〜っていうことが多くて。もっとみんな楽しく、そんなにシリアスにならなくてもいいのにな〜って思いますね。もっと自分の求めてるものをしっかり持って、しっかり練習することが大切なんじゃないかなと。

たぶん、目標をしっかり持ってないと、何をすればいいのか自分で見つけられないのかな〜。昔は情報も少なかったし、自分から「コレ超かっこいい!」って自分で見つけていった。もちろん、今は情報があるからこそ、俺たちが上手くそれを使っていい風に伝えていかないといけないと思うんですけど。なんか、変にシリアスすぎるかなって。

生徒同士の競争心もすごくて、競争自体はいいと思うんですけど、なんかそれも違う競争心かなって感じることもあって・・・とにかく、目標を自分で見つけて、もっと楽しんで欲しいですね。

ダンスを観て、自分が感化されたものを吸収すれば、
オリジナリティー・アイデンティティーが生まれる。−GAN

GAN

なんだろうな・・・枠に、はめたがる子が多いというか、特に若い子。話してると必ず出てくるのが、俺のスタイルはミドルスクール・ヒップホップって打ち出されてるみたいで、「ミドルとニューの違いは何ですか?」って聞いてくる。俺はそんな風に分けて考えたことはないからわからない。

俺は2000年からダンス始めたから、それまでのダンスとかもリアルタイムには知らなくて、そのときのニューとかミドルとかわからずやってた。でも、わかんなかったからこそ、色々分けずにカッコいいものを自分でチョイスできたと思う。

ハウスだから、そういうステップをヒップホップの俺はやっちゃいけないか・・・っていうと、そうじゃないと思うし、さっきもNOBさんが言ったように、もっと視野を広げて、ダンスが好きならもっといろんなダンスを観て、自分が感化されたものをどんどん吸収すれば、それによって自分のオリジナリティーというか、アイデンティティーみたいなものが生まれると思います。

でもまぁ、そういうのって、自分が何でダンスを始めたかを思い返せば、生まれてくるとは思うんですけどね。コレも、情報が与えられすぎてるせいなのかなと、今のいい面と悪い面を垣間見てる感じですね・・・そんな感じッス。

METH

なんか、最後にまくし立てたね。すげーよかった。大人になったね、GANちゃん。

全員

(笑) 。

ナチュラルに感じたものを、いい意味でこだわってほしい。−METH

METH

あ、次は僕ですね。えーっと、すげー単刀直入にいいですか。 まず、“温故知新”であること、“No pain, No gain.”であること、あと、“継続するための楽しみを見つけること”。結構コレに尽きると思います。

俺はヒップホップの住人で、ヒップホップが好きすぎるから。そこに、固執してるんじゃなくて、こだわってるんです。っていうことは、ハウスにも興味があったり、ポップにも興味あったり、オールドスクールだろうが、モダンだろうがなんだろうが、日常のことすべてにおいて興味を持つ。だから、俺はそれを総合して“ヒップホップ”と呼んでて、ダンスじゃなくても、ヒップホップミュージックじゃないところでも、ヒップホップを感じる。

ただ、コレは俺がヒップホップって言ってるだけで、ハウスの人ならそれをハウスって言ってもいいわけだし、自分がナチュラルに感じたものを、そのままいい意味でこだわってやってってほしい。

あと一個思うのは、生命力の問題ですね。さっき言った“No pain, No gain.”ですけど、痛みを知らないと生まれるものはない。知った痛みに対して、すぐにめげないで、その痛みの意味を知って、次につなげて欲しい。

TDM

METH的格言、ある意味一番まっとうな意見でしたね。

自分のカッコいいと思ったことに、もっと自信を。−NOB

TDM

では、最後にNOB君に締めていただきましょう。

NOB

最近の子というか、たぶん時代の流れだと思うんだけど、自分を信じてない人が多すぎるなって思うかな。

俺もさ、ヒップホップっていう踊りをずっとやってきて、クランプっていうものに出会って、今やってる。それは確固として自分が「これをやったら絶対おもしろい!」って信じてるから。信じてたら、別に何でもいいと思うんだよね。さっきGANちゃんも言ってたけど、オールドスクールとニュースクールとの違いとかも関係ない。俺も全くそういう違いとか感じてなくて、周りが何を言おうが、「そんなのダンスじゃない」って言われようが、自分が信じてれば絶対モノになる。でも、自分に自信がなかったら、何をやっても上手くいかないと思う。絶対。

最初は、誰でもダンスが楽しいし、絶対上手くなる!って気持ちで始めるじゃん。それを、忘れちゃってるんだよね。もっと、やるんだったら、誰も文句言わないくらいとことんやればいいのに。その部分が足りないんじゃないかなって思う。変に「俺、これマズイのかな・・・」「周りにこうやって言われてるんじゃないのかな・・・」って思っちゃってる感じがある。でも、この (VOL.5の) メンバーはそれがない。今日全員の話を聞いてても、やっぱり考えてなかった(笑) 。だから付き合いやすいんだよね。いい意味で、頭が悪い (笑) 。でも、それでいいと思う。

さっきKO-SKEが言ってたことにもつながるけど、仕事を掴もうとして、現場主義すぎて、賢くなる必要はないと思うから。結局は自分が信じた道だし、自分がやろうとしてる踊りだし、そこを頑張ってれば、なんかしら身になる。変に「こうしなきゃ仕事ができない」って考えすぎだと思うんだよね。

KO-SKE

(若い子たちとは) 目標としてるものが違う感じですかね。

NOB

そう、違う。もともと (ダンスは) 娯楽だからさ。難しく考えすぎたら終わりだと思う。いろんなやり方を、アタマ使ってやるのは合ってると思うけど、それを、変に周りに流されてあっち行ったりこっち行ったりしてたら、自分がないじゃん。

TDM

やりたいことを考えるんじゃなくて、やりたいと感じたものの方法を考えるんだよね。

METH

あ〜。なるほど。

NOB

そうそう。「コレ、どうしたらよくなるのかな」とか、そういうやわらかいアタマでいかないと。俺もヒップホップも好きでやってるけど、クランプも絶対進化するものだと思ってるし、おもしろいと思うし、そう信じてやってる。俺はね。だから、それでいいじゃん。それが人にも伝わればいい。ただ、そういうこと。で、俺のダンスの仕事っていうのは、下の子たちを育てて、夢を叶えさせてあげることだから、そこはそこ。それが、俺の仕事。

で、俺の好きなダンスは、ヒップホップをボルゴとやるのとクランプ。クランプは本当に自己表現だから、自分の伝えたい気持ちを伝えたりとか、今自分に溜まってるものを吐き出したいとか、俺はそういう目的。クランプを“日常”にしたくて。ヒップホップは楽しんで、教えたり、魅せたいっていうダンス。そういう風に、自分が持ってるものを、信念一つ持ってやってたら絶対大丈夫だから。

ポップだったらポップ、ロッキンだったらロッキン、ジャズだったらジャズ、ジャズヒップホップだったらジャズヒップホップ、憧れる人がいるんだったらその人についていくとか、その人を超えるんだったら超えるとか。そういう信念が一個あれば全然いいと思う。それが変にウロウロしちゃってる感じかな・・・でも、しょうがないと思う、こういう時代だから。情報もいっぱいあるし、そういう考えになっちゃうのもしょうがないんだろうけど・・・もうちょっと自分のカッコいいと思ったことに自信を持って欲しいなって思う。

METH

時代は変わってるけど、ストリートの本質みたいなのは変わってないからね。基本的には。ここは会社じゃないから、辞める・辞めないもないし。

NOB

そうそうそう。商売にしたいなら、そういう信念でやればいいと思う。自分がどんな状況になったとしても、かっこいいと思って信じてやることには変わりはないわけだから。

TDM

なるほど。みんな、いいメッセージをありがとうございました!
'08/07/11 UPDATE
Interview & Photo by AKIKO
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