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UNIQLOCK 〜世界共通言語のダンス×音楽×時間〜
UNIQLOCK 〜世界共通言語のダンス×音楽×時間〜
ファッションブランド「ユニクロ」がダンスを世界共通言語として大々的にたち上げたキャンペーンサイト「UNIQLOCK」 (ユニクロック) 。企業が“ダンス”をツールとしてメッセージを発信するに至った背景を探るべく、株式会社ユニクロ東京本部を訪問。マーケティングという立場から、金友氏、江口氏の2人に意見を聞くことができた。ダンスをここまで評価してくれる企業の存在に感激した編集部だった…。

UNIQLOCKとは http://www.uniqlock.jp/


ユニクロの江口修平さん、金友健さん

(L→R) 潟ニクロの江口修平さん、金友健さん
 
ユニクロがドライポロシャツのプロモーションを目的として「音楽×ダンス×時計」のコラボ企画として、2007年6月にオープンしたサイト。世界のブロガーをターゲットに、ブログパーツを配信することで、グローバルに共有できる仕組みが特徴。時報とともに流れる音楽は全てFantastic Plastic Machine (FPM) によるオリジナル楽曲。その時報に合わせて踊る“クロックダンス”を披露するダンサーは、オーディションによって選ばれ、その様子はYouTubeで流されるなど、一風変わったPR方法が若いブロガーを中心に世界で話題を呼んでいる。7月5日には「WORLD.UNIQLOCK」も開設され、ブロガーの数やブログパーツの設置都市などが確認でき、現在は170カ国以上で約550万回閲覧されている。
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まず今回の「UNIQLOCK」に至った経緯は?

江口

まず、前回ユニクロのキャンペーンとして、「MIX PLAY」というサイトを作りました。そこでダンスチーム「無名」の皆さんを起用して制作した動画をYoutubeにアップしたところ、現在までに世界各国から45万件以上のアクセスがあり、それには我々も驚いています。もともとユニクロの目指していることとして“グローバル化”があり、その世界共通の言語として、ダンスが一番そのコンセプトを体現しうるのではないかと考えました。

金友

今回の「UNIQLOCK」はその第2弾をやろうということでスタートしました。世界共通なものとして、前回同様“ダンス”に加え、“音楽”、そして“時計”を使って何かできないかということで、今回の「UNIQLOCK」が生まれました。

「無名」の皆さんは前回の「MIX PLAY」に出演いただき、ダンスシーンで流行りつつあるアニメーションダンス界の中でも大変有名ということで今回もお願いすることになりました。「UNIQLOCK」のロケを行ったのは都内の教会なんですが、4人の女の子が清らかな雰囲気の場所でふわふわと不思議なダンスを踊る、そのほほえましい動きをなぜかいつまでも見続けてしまう、そして特定の時間になると、ダンスが見られるという仕掛けです。全員ユニクロのドライポロシャツを着ていますが、もともとドライポロシャツのプロモーションは後付けで、先にこの企画があったんです。最初、ダンサーたちにふりふりのスカートを履かせようという案で進行していたのですが、現場の教会に行ってみると、逆に普通のパンツの方がいいということで変更しました。ユニクロ独自のバリエーションの豊富さで、衣装もコンセプトとしっかりとはまり、良いテイストにまとまっていると思います。

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初めて撮影現場でのダンスをご覧になった時、どうでしたか?

金友

まず、びっくりしましたね。事前に映像などで見てはいましたが、生で見てみると、伝わるエネルギーが違います。ライブ感を体感しました。ネット上で見ているお客様にも、もちろんダンスのすごさは伝わってはいると思いますが、我々が生で感じたこのエネルギーを、今後ユニクロで何かの形で打ち出していけるといいのかなと思いますね。ユニクロは、グローバルに評価される企業を目指しています。「無名」さんを観た時、目指している方向性は同じなのかなと思いました。

江口

前回の「MIX PLAY」の一環として、ユニクロ銀座店のショーウィンドウで、「無名」の皆さんにパフォーマンスをしていただきました。銀座店の前の通りは、当日は歩行者天国になっていたので、道行く人々の足がとまり、ダンスが終わった時には拍手が巻き起きこりました。観客数の多さもそうですが、皆さんが幸せそうな表情をしていたのには驚かされました。生のエネルギーのようなものが伝わったんだと感じましたね。

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このような企画を含め、ユニクロという企業にすごく好感を持って、お話を聞かせていただいていますが、お二人が感じるユニクロの魅力や、入社した動機を聞かせてください。

金友

おそらく皆さんがダンスを選ばれたのと同じだと思いますが、「挑戦」し続けたかったからですね。どれだけやってもゴールというものはなく、やればやった分だけその先がある。ユニクロとは「挑戦」し続けることが可能な会社だと感じて入社しました。入社後5年間は店舗で社員、店長を経験し、今は本社で仕事をしていますが、その社風は全ての部署に浸透しています。今回の「UNIQLOCK」も完成形ではないので、まだまだユニクロのグローバル化へ挑戦していきたいです。

江口

重複するのですが、ユニクロは挑戦する機会を与えてくれます。それと常にお客様と向き合って仕事ができるところは魅力的だと思います。接客でもプロモーションに対してでもお客様から非常にたくさんのお声を頂いて、ユニクロはこの声をお客様からのユニクロに対しての期待として、とても大切にしています。褒めていただいた時は嬉しく、厳しいご意見を頂いた時は次への挑戦として気が引き締まるので、やはりお客様から何かしらの反応が返ってきた時にやりがいを感じます。

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普段のお仕事についてお聞きしたいのですが、マーケティングというものは時代を見つめて、ある意味カルチャーを作っていく性質を持っていると思います。どういう意思を持って、マーケティングに携わっていらっしゃるのですか?

金友

誰もやったことがないことをいかに早くやって、それを世の中の常識にできるか、ということでしょうか。徐々に影響を受けた人へと伝わり、いつのまにかそれが当たり前になっている。その源は、言い方が正しいかわかりませんが、情報発信者からのエネルギーのようなものだと思います。そして、そのエネルギーの積み重ねがカルチャーになっていくのでしょう。何か大きなことをするというわけではなく、全ては積み重ねなのかなと思います。「UNIQLOCK」で見せた世界共通言語としてのダンスというものが、今後当たり前のように出てくるかもしれません。

江口

そもそも、ユニクロが大切にしているものとして、高品質なものをお買い求めやすい価格で提供し、多くの方の生活とファッションを豊かにしたいということがあります。フリースやカシミヤがそうであったように、低価格で高い付加価値の商品を世界に向けて作り出していく。そして、いつかそれが世界水準となる。マーケティングでも、ユニクロ発 (日本発) で世界に広まっていくようなデファクトスタンダードをつくりあげていきたいと思っています。個人的にですが、そういう広がりとしてダンスにも同じ可能性があるように思います。それまでダンスに関しては少し閉鎖的というか、一般的になっていない面があると思いますが、今回の「UNIQLOCK」などを通じて一般に向けられたものとなることで、もっと公に広がっていくのではないかと思います。YouTubeでは既に韓国人が「UNIQLOCK」の踊りをしている動画が公開されていました。少なくとも彼らには伝わったということでしょうね (笑) 。ダンスには非常に可能性を感じますよ。

金友

ユニクロは以前からファッションの見せ方としてアスリートにも注目しています。例えば、動きのあるダンサーにはTシャツなど非常に相性がいいですよね。もしくは新しく相性のよさを提案していくのも楽しみの一つです。「MIX PLAY」「UNIQLOCK」に続く第3弾のプロモーションも、あるかもしれないので、是非期待してください。一方で、ダンスシーンの普及にも期待しています。

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では、最後に読者の皆さんにメッセージを頂きたいのですが…

金友

偉そうに言えることではありませんが、皆さんがダンスを好きなのと同じで、私も挑戦することが好きです。今回の「UNIQLOCK」を通して伝えたいことはグローバル化。世界共有言語である「MUSIC×DANCE×CLOCK」と同じように、ユニクロも世界共通のカジュアルブランドへの進化を表現しました。多くの人に何かを伝えるという面で、その表現方法は様々ですが、ともに「挑戦」し、頑張っていきましょう。

江口

私も偉そうに言えませんが、きっともっと多くの人にダンスは広がっていくように感じます。知らない人へ何かを伝えて広げることで、シーンというものが広がり、その可能性が広がります。いつでも、どこでも、誰でも、気軽にダンスできる環境づくりと踊る楽しさ、見る楽しさを伝えていってください。ダンスの持つ可能性にも期待しています

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今日はお忙しい中ありがとうございました。次なるユニクロからの仕掛けを楽しみしています。
interview & photo by AKIKO & imu
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