石川浩子 青柳有厘「HIROKOminion・モモレンジャーズ」〜just a fun!〜
前日のゲネプロを公開。学生たちに舞台を観に行く習慣を。
TDM
:
さきほど公開ゲネとおっしゃっていましたが、ゲネプロを公開するんですか?
ちびた
:
はい。今回は初回なのでまず学生向けに、舞台を見る経験を習慣にして欲しいと思って、本番前日のゲネプロを格安で公開します。
浩子
:
今回みたいな学生を対象とした公開ゲネは特にいいと思う。私も大学を出たからわかるんだけど、学生の時ってなかなかお金に余裕がないのよね。でも、ダンスをする上ではいろんなものを見たほうがいいと思う。それに、ゲネのときの照明さんや舞台監督さんたちがバタバタ作業してるのも逆に見せた方がいいかなって。
ちびた
:
一度、専門学校の卒業公演を手伝ったときに、学生たちが舞台について勉強してるのに、あまりにも知らないんだなと感じることがあって。「観たいんですけど、お金がなくて…」っていうその現状に驚いたんです。「じゃぁ、公開ゲネを安く観れるようにして、たくさん観せた方がいい!」と思って、今回やってみることにしました。
今の若い子たちってショウタイムの方に興味があるのかなと思いきや、舞台もやりたいとは思ってるみたいで、私たちの舞台とかのビデオを見せると、「はっ!こんなのあるんだー!」って、すごく吸収してくれるんです。だから、単純に観に行く機会がないだけなのかなと。
ただ、スタッフが確認作業等をしているので、客席の半分より前は座れません。座席限定ですが、まだ若干名であれば
公式サイト
で予約できるので、ご希望の学生さんたちはギリギリまで問い合わせてみてください!
浩子
:
舞台を観る機会がないのは、たぶん金銭面だけが原因ではないとは思うんだけどね。例えば、意外にダンスを教える学校でも、舞台の情報を与えてない所もあるみたい。ダンスを教えることはするけれど、それで発表して終わりってなることが多いのかもしれない。でも、その子たちが卒業したときに困らせない為にも、色々な経験をさせてあげる上で、舞台づくりの面からたくさん見せたりやらせた方がいいと思う。
まぁ、そんな気持ちもありつつ、とりあえずやってみよう!ということでやるんですけども、今回はまだ2回目なので大々的にはできません。でも、規模は小さくても続けていきたいなと思ってます。
あとは出演してくれた本人たちも、今回得たものを他の場所でも還元していってくれると、もっといろんなものが増えると思う。今は上手い子はいるけど、平均的な気がして、昔みたいに面白い人がいないの。でも、こういう広がりで、面白い芽が出てくれるといいな。
ちなみに、会場の六行会ホールは自宅からも私のスタジオからも近いので、子供を実家に預けたり、スタッフや出演者のお弁当は母親の手作り弁当を届けてもらったりしてます。前回の「THE WITCHES」のときは、パンフレットの横で手作りマドレーヌを完売させてました (笑) 。基本めんどくさがりなので、この環境はありがたいです。
誰もが一度は“踊りバカ”になっていた。
浩子
:
今回の振付師を、周りの身内だけじゃなくって新しい人にもお願いしたいなと思って、最近色々観に行ってはいたんだけど、振りは面白いけど、作品として面白いもの、自分たちが要求したものに対して返してくれる安心感とか期待感があるかってなると・・・いつものメンバーにお願いすることになっちゃうんだけど、でも、やっぱり皆すごい作品を創ってくるの。まぁ、長い付き合いからかもしれないけど。かれこれ20年弱かなぁ。
TDM
:
身内ってさらりとおっしゃいましたけども、皆さんかなりの大物、しかも第一線ですからね (笑) 。
浩子
:
そう考えると最近は“メチャクチャ”なダンサーがいないもんねー。昔はちょっとぶつかっただけで、喧嘩になるんじゃないかってくらい危なくて、ひどくて、メチャクチャだった (笑) 。今の子は真面目だもんね。だけど、今思えばあのメチャクチャな時代があってよかったのかな。
私たちの時代は、クラブが少なかったからかもしれないけど、ショウタイムがなくても、この日にはここ!って皆が集まってた。新宿ならセンチュリー
※
とかでただ飲んで、情報交換して、踊ってるだけ。たまに「ダンス・ダンス・ダンス」
※
のビデオ観ると面白いもん。踊りの上手い・下手ではなくて、面白いチームがいっぱいあって。
※
センチュリー:
80年代後半、90年代前半にダンサーの集まるクラブ(ディスコ)として栄えていた。(
OZインタビュー
参照)。
※
ダンス・ダンス・ダンス:
石川浩子を含む「MEGAMIX」がレギュラー出演していた90年代初頭に放映されたフジTVのダンス番組。TDMでは何度も出てきている番組名(
Sound Cream Steppersインタビュー
参照)。
なんだろう・・・お金を全部捨ててまで、全部踊りにつぎ込もうっていう子が少ないかも。昔は誰でも一回“踊りバカ”になっちゃうような時期があって、そういうパワーのある子がいたんだよね。
ちびた
:
逆に今の子は器用ですよね。ダンスしながら、遊びもして、彼氏・彼女と上手くいってて、旅行もして、おしゃれで・・・って。
浩子
:
時代的に、今は“踊りバカ”になるのが難しいのかもしれないね。でも、自分の生徒たちには、踊りを本気でやったら充実感がこんなにあるんだよっていうことを何とか知ってもらいたい。そのやりきった後の充実感で、こっちもお金にならなくても“またやろう”って思っちゃうんだよね。
役割分担の完成されたナイスコンビネーション。
TDM
:
これまでお話をお伺いしていて、昔から素晴らしいシーンの開拓者だと感じていましたが、お話を聞いているとかっこよさと笑いのギリギリを貫いていらっしゃいますよね (笑) 。
一同
:
(笑) 。
浩子
:
本当はかっこいい路線で生きたいんだけど〜!どこでそうなっちゃったのかなぁ・・・ (笑) 。
ちびた
:
この浮世離れした部分を浮世と繋げる私の役目がどれだけ大変か (笑) 。
TDM
:
でも、お二人はナイスコンビですよね。
浩子
:
ちびたは私が忘れかけてたり、できないことを本当にいろいろやってくれるの。ゴマするわけではなくて、ちびたと出会ってなかったら舞台はやってないよ。一人じゃ無理だもん。とりあえずパンフレットやチラシを作ったりだとか、細かいことがダメで・・・私がバーっと言ったことを綺麗に企画書に書いてくれる (笑) 。
ちびた
:
浩子さんは完全に“プロデューサー”の役割なんです。外枠をドーンと決めたら、あとは興味がなくなるみたいで、その中身を私が緻密に創っていく (笑) 。
えぇ、まぁ、そうやって咲いてる花を蹴散らしながら前に進んでいただければいいんです(笑) 。そういう方がいないと物事は前に進まないですし。私がその花を拾っていろんな花束を作っていきます (笑) 。でも逆に、自由なので楽ですけどね。
浩子
:
だからこそ、ちびたがいなかったらやってないと思う。基本的に私がこだわりたいのは舞台のみ。チラシやパンフレットはもちろん素敵なのがいいんだけど、ちびたのセンスもいいし、前回もすごくいい物を作ってくれたから完全に信頼してるの。毎回コンセプト通りになってくれる・・・。
ちびた
:
それまでに何度も各セクションのクリエーターと綿密な打合せを行ってるんですけどね (笑) 。
浩子
:
ありがとうございます〜! (笑) 。
ちびた
:
もちろん私もダンスの監修においては大信頼を置いてお任せしています。まさに役割分担ですよね。
浩子
:
だから、すごく大変だけど、「もういや!」ってことはなくて、二人で助け合ってるから「またやりたいな」って思うくらいだよね。
ちびた
:
まぁ、終わってからは2週間くらい会いたくないですけどね (笑) 。
TDM
:
そんなないすコンビのお二人を中心に完成した舞台、楽しみにしています!今日はいろんなお話をありがとうございました!
'08/06/13 UPDATE
interview by
AKIKO
Photo by
AKIKO
&
imu
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石川浩子プロデュース「HIROKOminion・モモレンジャーズ」
('08/06/13 UPDATE)